知らないと損!家内労働者と個人事業主の違い|基礎と見分け方

フリーランスや個人事業主が知っておきたい「家内労働者」や「家内労働者等」の定義や違い

個人事業主が確定申告についてネットで調べていると、「家内労働者」「家内労働者等」という言葉を見かけることがあるかも知れません。特に近年では、副業や在宅ワークも増えているため、以下のような疑問を持つことも少なくないでしょう。

  • 家内労働者って何?
  • 「家内労働者」と「家内労働者等」は同じ?
  • 個人事業主との違いは何?
  • 自分は家内労働者に該当する?

特に、家内労働者向けの特例の存在を知ると、自分も対象になるのか気になる方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、上記のような疑問を持つ方に、以下の基礎知識を分かりやすく解説します。

  1. 「家内労働者」と「家内労働者等」の違いは何か?
  2. どのような人が家内労働者に該当するのか?
  3. 個人事業主と、家内労働者との違いは何か?
  4. 家内労働者にはどのようなメリットがあるのか?

実は「家内労働者」と「家内労働者等」は1文字違いでも制度的な違いがあります。両者の違いをしっかり理解していないと、ネット上の情報を見て混乱する可能性があります。私自身、家内労働者等向けの特例を使おうと思い色々調べてみましたが、一時期は両者を混同していたため誤解も少なくありませんでした。そこで、改めて調査し、この記事にまとめてみました。

ぜひこの記事を読んで、あなたが家内労働者に該当するか判断できるようになりましょう。尚、本記事は私の調査結果や、私自身の経験に基づいています。間違いもゼロとは言えませんので、あらかじめご了承ください。

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「家内労働者」とはどんな人か?

答え:自宅で請負的に加工や組み立て作業をする人

まず「家内労働者」についてしっかり理解しておきましょう。「家内労働者」とは、主に家内労働法に基づいて定義されており、以下のような条件があります。

  • 事業主から材料や部品などを受け取り、自宅などで製品や加工を行い納品する人
  • 例:縫製、内職的な組み立て作業、手工芸品の加工 など
  • 自宅などで家族と共に請け負って作業するケースも含む

つまり、工場や事務所に通勤するのではなく、自宅に材料が届き、成果物を納品して報酬を得る人が「家内労働者」に当たります。言い換えれば、家内労働者は「自宅で請負的に仕事をする労働者」と言えるでしょう。

大きな特徴:家内労働者には「家内労働手帳」が交付される

家内労働者には「家内労働手帳」を交付することが「家内労働法」(1970年制定)で定められています。

家内労働手帳の目的

  • 家内労働者が不利な条件で働かされるのを防ぐための記録ツール
  • 事業主は委託時に「家内労働者手帳」を交付し、労働条件や報酬などを明示する義務がある

手帳に記載される内容

  • 委託日や委託内容
  • 材料や部品の貸与状況
  • 仕上がり品の納入日
  • 出来高に応じた賃金額

このように、「家内労働者手帳」は、労働者にとって「労働条件明示書」や、「賃金台帳」としての役目を果たしています。

現状:家内労働者は減少している

先に解説したように、家内労働者には「家内労働者手帳」が交付されます。もしかすると、「家内労働者手帳」の存在をこの記事で初めて知ったという方もおられるのではないでしょうか。

実際、伝統的な内職は減少しているため、家内労働者手帳を目にする機会は少なくなっています。しかし、法律上の交付義務は現在もあります。また、実状の変化に合わせて「家内労働者」とは別に「家内労働者等」という制度が設けられました。その点については、次のセクションで解説していきます。

家内労働者と「家内労働者等」は何が違う?

答え:特例を適用できる対象範囲を広げた呼称です

「家内労働者等」とは、家内労働者と同じような収入が小規模で必要経費の把握が難しい人たちを含めた呼び方です。先のセクションで紹介したように、元々は「家内労働者」という制度がありましたが、実情の変化を踏まえ「家内労働者等」という制度が追加されました。

両者は名前が1文字違うだけですが、意味合いが異なります。分かりやすくまとめると以下のようになります。

  1. 「家内労働者等」は、家内労働者よりも税法上の定義を広くしたもの。
  2. 家内労働者は「家内労働者等」の中に含まれる。
  3. 家内労働者には「家内労働者手帳」が交付されるが、「家内労働者等」にはそうした制度が無い。

「家内労働者」と「家内労働者等」の比較表

両者の違いを整理すると、以下のようになります。ポイントは、「家内労働者」に該当する人は現在ではかなり少ないのに対し、「家内労働者等」に当てはまる人は比較的多いという点です。

項目家内労働者家内労働者等
定義材料や部品を受け取り、自宅で加工・製造し納品する人家内労働者+在宅請負業務を行う幅広い層
②主な職種縫製、組立、工芸加工など内職、ライター、翻訳、デザイン、軽作業など
③現代の該当者非常に少ない比較的多い(フリーランス副業含む)
④税務上の取扱い必要経費の特例が適用される同じく「家内労働者等の必要経費の特例」が適用可能

「家内労働者等」の定義

国税庁の定義によれば、以下に該当する人も「家内労働者等」に含まれます。

  • 専業でなくても、委託を受けて在宅で作業する人
  • 原稿執筆、翻訳、デザインなどの請負ベースの在宅ワーカー
  • 内職的な軽作業をする人
  • 材料や原稿などを受け取り、成果物を納める仕事をしている
  • その他、特定の人や会社から委託を受けて小規模に継続的な業務を行っている

つまり、特定の企業や個人から継続的に業務委託を受けているフリーランスや副業ワーカーであれば、「家内労働者等」となる可能性があります。

時代の変化に合わせ「家内労働者等」が追加され範囲が拡大

個人事業主と「家内労働者等」の違いは何か?

答え:個人事業主の中には「家内労働者等」に該当する人がいます

法律には「個人事業主」という定義や用語はありません。税務や行政上は「事業所得を得ている個人」や、「事業を営んでいる個人」などの表現が使われます。

一方、一般的な意味では「個人事業主」は、以下のような人たちを含んで使われることがあります。

  • 開業届を出して本格的な事業を行っている人
  • 特に開業届を出さずに活動している人
  • フリーランスや副業ワーカー

分かりやすく言えば、「会社などと雇用契約を結ばずに働いている人」は大きな意味で「個人事業主」と言えるでしょう。

実は、そうした個人事業主の中には、先に紹介した「家内労働者等」の定義に当てはまる人もいます。そのような人は「家内労働者等」とみなされ、税制上の特例が使える場合があります(詳しくは次のセクションで解説します)。

また、白色申告をしている人だけでなく、青色申告の人も「家内労働者等」に該当する場合があります

私は青色申告業者ですが、一時期「家内労働者等」に該当する働き方をしていたため特例を使ったことがあります。特に、税務署から問い合わせや指摘などは受けておりません。

「家内労働者等」に該当する個人事業主は増えています

家内労働者等に該当するかの判断ポイント

「自分は家内労働者等なのか?」と迷うこともあるでしょう。まず、「家内労働者等」とは基本的に「在宅を中心に委託作業を行い、取引先に成果物を納品する仕事を行う人」を指します。

一方、以下のようなケースでは家内労働者等に該当しないか、あるいは該当しないとみなされる可能性があります。

  • 自分で仕事を獲得し、自由に取引先を選べる
  • 自宅以外に事務所などの仕事場を構えている
  • 自分で集客している
  • 店舗を構えて営業している
  • 家族以外の従業員を雇用している
  • 事業規模が大きく、「小規模な請負的作業」とは言えない

ただし、上記に当てはまらないとしても、契約形態によっては家内労働者等に該当しないケースもあります。もし判断が難しい場合は、税務署や税理士に相談してみましょう。

あなたが家内労働者等に該当するかの判定テスト
※この判定テストに「合格」した場合も、税務者などに自分が家内労働者等に該当するか確認することをお勧めします。

具体例1:「ウーバーイーツ」などのデリバリーは家内労働者等に該当するか?

近年、ウーバーイーツに代表されるデリバリーの仕事も増えています。結論から言うと、こうしたデリバリー系の仕事は「家内労働者等」には該当しないと解釈されています。理由は以下の通りです。

  1. 街中での業務である(在宅を中心とした業務ではない)。
  2. 不特定多数の利用者から依頼を受ける形態であること。

具体例2:「クラウドワークス」などのクラウドソーシングは家内労働者等に該当するか?

結論から言うと「クラウドワークス」などのクラウドソーシングで仕事を得ている人は、家内労働者等に該当する場合があります。理由は以下の通りです。

  1. 在宅ワークである
  2. ライター、デザイナー、プログラマーなど成果物を納品する仕事が多い
  3. 給与所得ではなく、請負や委託による報酬である

ただし以下のような場合は「継続的に収入を得ていない」とみなされ、家内労働者等と認められない場合があります。

  1. 仕事を受けたのは1回きりで、以降まったく同様の仕事をしない
  2. 趣味や臨時収入に近く「事業性」があると認められない

「家内労働者等」に該当するかは、特定の人や会社から委託を受けて在宅で小規模に継続的な業務を行っているかどうかが一つの判断ポイントとなります。一方、クラウドソーシングのようにプラットフォームを介している場合、発注者がプラットフォーム運営者なのか、それともプラットフォームを介して仕事を依頼する側なのかについて、税務署によって判断が分かれる可能性があるため注意が必要です。

具体例:ウーバーイーツは該当しない、クラウドワークスは該当する場合がある
※クラウドワークスなどのプラットフォーム経由で仕事を受けている場合でも、家内労働者等に該当するかどうかは税務署によって見解が変わる場合があります。ご自身が該当するかを事前に税務署に確認なさってください。

「家内労働者等」は特例による税制上の恩恵があり!

「家内労働者等」に該当する場合、確定申告で特別な控除が使えることがあります。それが 「家内労働者等の必要経費の特例」 です。

元々、「家内労働者向けの必要経費の特例」という制度がありました。これは、家内労働者の仕事が、材料費や光熱費などの経費が実際の所得計算で不明瞭になりやすいことを考慮したものでした。しかし実情を踏まえ、現在では適用範囲を広げ「家内労働者等の必要経費の特例」となっています。

この特例は、必要経費の計算を簡略化するために設けられており、以下のようなメリットがあります。

  • 実際の経費が55万円に満たない場合でも、最大55万円までを必要経費として計上できる。
  • もし収入が55万円に満たない場合は、収入額がそのまま必要経費となる。

上記を具体的な金額に当てはめると、以下のようになります。

  • 年間収入が100万円の場合、最大で55万円を経費として計上できる(節税になる)。
  • 年間収入が30万円しかない場合、30万円すべてを経費扱いにできる(所得税をゼロにできる)。

このように、計上できる経費額が増えることで節税ができる特例となっています。

特例を適用することで、領収書なしで最大55万円の経費が認められる

特例のデメリット

本特例にはデメリットもあります。主なデメリットは以下の通りです。

  • 実際の経費が55万円を超えていても、特例を使うと55万円までしか経費計上ができない(実経費をそのまま計上した方がお得)。
  • 事業以外の収入が多いと、「家内労働者等」に該当しても特例を使えない場合がある(特に給与収入が多いと使えないことがある)。

尚、本特例についての詳細は以下の記事を参照してください。

まとめ

  • 家内労働者(および家内労働者等)とは、特定の事業主から委託を受け、主に自宅で加工や執筆などの請負作業を継続的に行う人のことを指します。
  • 一般的な個人事業主として活動している方でも、在宅ワークを中心に特定の相手から仕事を受けているライターやデザイナーなどは、この区分に該当する可能性があります。
  • 両者の大きな違いは、条件を満たすことで実際の経費が少ない場合でも最大55万円を必要経費として計上できる「税制上の特例」が受けられるかどうかにあります。
  • ただし、デリバリー業務のように屋外での作業がメインの場合や、単発の依頼のみで継続性がない場合は特例の対象外となるため注意が必要です。

ご自身の働き方が家内労働者にあたるか、個人事業主との違いを正しく理解し、利用できる制度を最大限に活用しましょう。尚、自分がどちらに該当するのか疑問に思う場合は、税理士や税務署に相談しましょう。

次回の確定申告に向けたアクション

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FAQ:家内労働者と個人事業主の違いに関するよくある質問

Q1. 「家内労働者」と一般的な「個人事業主」の大きな違いは何ですか?

A. 法律上の明確な用語はありませんが、「個人事業主」とは一般的に会社に雇われず働く人の総称です。一方、「家内労働者」は特定の事業者から材料を受け取り、自宅で加工や組み立てを行う人を指し、労働条件を記した「家内労働者手帳」が交付されるのが特徴です。現在ではこの対象を広げた「家内労働者等」という区分があり、在宅で働くライターやデザイナーなども含まれます。大きな違いは、個人事業主の中でも「特定の相手から委託を受け、主に在宅で継続的に作業を行う」という条件を満たすと、税制上の特例(最大55万円の経費計上)を受けられる可能性がある点にあります。制度の詳細は、国税庁の最新情報を公式確認することをおすすめします。

Q2. クラウドソーシングで働く場合も「家内労働者等」に該当しますか?

A. はい、クラウドワークスなどのプラットフォームを介して在宅で働くライター、デザイナー、プログラマーなども「家内労働者等」に該当する場合があります。判断のポイントは、給与所得ではなく、委託を受けて成果物を納める「請負」の形態で、特定の相手から継続的に仕事を受けているかどうかです(注:条件は一緒でも税務署によって該当するかの判断が分かれる場合があります)。ただし、単発の仕事で継続性がない場合や、事業性が乏しいとみなされる場合など対象外となる可能性があります。尚、不特定多数から依頼を受けるデリバリー業務などは、在宅業務ではないため該当しないと解釈されています。ご自身の働き方が特例の対象になるかは、契約実態や事業規模によっても異なるため、不明な点は税務署へ相談しましょう。

Q3. 「家内労働者等」として確定申告をすると、どのようなメリットがありますか?

A. 最大のメリットは「家内労働者等の必要経費の特例」が適用でき、節税につながることです。通常の個人事業主は、事業にかかった実費を経費として計上しますが、この特例を使えば実際の経費が55万円に満たない場合でも、最大55万円までを必要経費として差し引くことができます。例えば、在宅ワークでのパソコン代や通信費が年間10万円しかかかっていなくても、55万円を経費として計算できるため、課税される所得を大きく抑えることが可能です。ただし、給与所得がある場合や実際の経費が55万円を超えている場合には、計算方法や有利な選択肢が変わるため注意が必要です。適用にあたっては、その年の申告条件を必ず公式のガイドなどで確認してください。

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