【中小企業向】リモートワークの生産性が下がる中小特有の4要因

ノートパソコンの前で頭を抱えるスーツ姿の男性

コロナ禍をきっかけに、中小企業でもリモートワークが増えました。ところが、リモートを導入したところ、以下のような課題に直面した会社も少なくありません。

  • 「リモートで業務効率が落ちた」
  • 「生産性が下がって困っている」
  • 「社員の状況を把握できない」

そこで、コロナ収束後にリモートを廃止したところ「通勤の負担が戻った」、「リモート可の会社に人材が流れ、採用競争力が低下した」などでリモートを部分的に再導入する中小企業もあります。いずれにしても、大企業に比べてリソースが限られる中小企業では、リモートワークの課題を放置すると人材確保にも影響しかねません

リモートワークは「生産性が低い」といった良くないイメージを持たれがちですが、実際にはリモートワークそのものが悪いのではなく、リモートに合わせた体制が作られていないことが主な原因です。そこでこの記事では、以下の点を中小企業の経営者や管理職向けに解説します。

  • なぜリモートワークで生産性が下がるのか?
  • 生産性を上げるための具体的な改善策

私自身、ある小さな会社でリモートで仕事しています。また、リモートワークのための基盤や仕組み作り、管理職的なポジションも経験しています。そうした実務経験に基づき解説していきます。

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大企業とは違う!中小でリモートの生産性が下がる理由

リモートワークで「生産性が下がった」と感じているのは、中小企業だけではありません。AmazonやGoogleといった世界的な大企業も、出社の義務付けに方向転換しています。

しかし、大企業と中小とでは事情が異なります。中小でリモートの生産性が下がるのは、中小特有の理由があるからです。以下にその理由を4つ取り上げます。

①コミュニケーションの質や量の低下

中小企業は、少人数で連携できることが大企業には無い強みとなっています。必然的にコミュニケーションも密になるのですが、リモート環境ではそれも難しくなります。

  • 今、どんな案件がどこまで進んでいるのか?
  • その案件の担当は誰なのか?
  • 現在の状況や次のステップは何か?

出社時にはこうしたことが容易に把握できていたものの、リモートでは把握しにくくなり業務が滞るようになります。

②マネジメントがより難しくなる

中小企業は規模が大きくないため、社員がちゃんと働いているのか、どんな課題に直面しているかなどを経営者などが把握しやすい環境にあります。

しかし、リモートでは社員の動きなどを直接目視で確認できないため、必然的に状況把握が難しくなります。結果として、管理職が適切な指示出しやフォローが行えず、生産性低下につながる場合があります。

③設備への投資不足

中小は大企業と比べ、ITツールやIT機器への投資が後回しになりがちです。

例えば、リモートワークに必要なZoomなどのビデオ会議や、チャットツールの導入が遅れ(または無料版の使用にとどまり)、電話やメールを中心としたコミュニケーションになりがちです。

また、パソコンの購入費用をあまり出せず、スペックの劣るパソコンで作業を強いられることもあります。

結果として、リモート環境での作業効率が悪化し、ストレスも増加しやすくなります

④社員のモチベーション維持が難しい

中小では特に、リモートでモチベーションが落ちやすい傾向があります。例えば、以下のような要因が挙げられます。

  • 他の人と顔を合わせることがなく「自分は組織の一員だ」と感じにくい。
  • 上司や経営者との距離感がより遠くに感じやすくなる。
  • 「よくやった」「ありがとう」と声をかけられることが減り、承認欲求が満たされにくい。

中小企業は給与や福利厚生で大企業に劣る部分を、職場の雰囲気や関係性の良さでカバーしていることがあります。ところが、上記のようなちょっとした不満が積み重なると「どこで働いても同じ」、「別の会社でもいいかも」と感じやすくなり、少しでも条件のよい求人が見つかれば転職してしまうかもしれません。

リモートで生産性を上げるために中小が取るべき対策

リモートで生産性を上げるためには、リモートの弱点をカバーできるような体制や仕組み作りが欠かせません。

①情報共有の仕組み化

直接顔を合わせることが少ない分、情報共有を仕組み化することが書かせません。例として以下の方法があります。

  • 毎朝のオンライン朝礼
  • 日報の作成
  • チャットベースのコミュニケ―ション体制

オンライン朝礼はzoomやGoogle Meetを使えますし、日報はGoogle WorkspaceやNotion、チャットはSlackやChatworkを活用できます。

どんな情報を、どのようなツールやチャンネルで共有するかなどのルール作りもしっかり行いましょう。尚、勤務形態などに合わせて朝礼のみ、日報のみ、朝礼と日報の組み合わせなどの調整をしても構いません。

②マネジメントの可視化

リモートではコミュニケーションに制限があります。しかし、マネジメントを可視化することでカバーすることができます。

具体的には「タスク管理ツール」(Trello、Backlog、Notion、Todoist など)を活用します。

  • 誰が何をやっているか?
  • 現在の進行状況
  • どの仕事が完了しているか?

タスク管理を導入することで、こうした状況をチームで見える状態にできます。

タスク管理の「コメント機能」を情報共有にも使う

大抵の場合、タスク管理ツールにはコメント機能があります。コメント機能を使い、タスクに関連したコミュニケーションをとることでも情報共有ができます

③「リモートで仕事しやすい環境づくり」への投資を惜しまない

仕事は環境によって成果に大きな差が出ます。費用はかかりますが、かけた費用以上のパフォーマンスにつながることも少なくありません

特にリモートの場合、最低でもスペックに余裕のあるパソコンや、通信環境への投資を惜しまないようにしましょう。

また、仕事に必要なITツールも無料のものでは機能に限界があり、使いづらいこともあります。必要に応じて有料版を契約し、快適に仕事できるようにしましょう。

④コミュニケーションで部下を積極的に気遣う

中小のリモートは孤立感が高まりやすいため、部下を気遣うようなコミュニケーションをとっていきます

例えば、「1on1ミーティング」を定期実施することで、部下の課題把握やモチベーション管理に効果的です。

またチャットも「了解」、「ありがとう」という素っ気ない表現だけでなく、部下へのねぎらいや感謝が伝わるような表現を心がけます。加えて「こういう点が良かったです」など具体的なほめ言葉や、「もっとこうすると更に良くなりますよ」などのフィードバックを伝えることもできます。経営者、管理職がこうしたコミュニケーションを率先して行いましょう

雑談やオンライン飲み会はやった方が良いか?

モチベーションアップのために雑談タイム、オンライン飲み会、社内チャットの雑談チャンネルの設置を推奨する記事もありますし、実際に行っている会社もあるようです。

ところが「仕事以外の付き合いをしたくない」、「とにかく仕事だけに集中したい」という理由でリモートを選ぶ人もいます。こうした人は雑談チャットやオンライン飲み会を煩わしく感じ、辞めるきっかけにもなりかねません

そのようなわけで、雑談やオンライン飲み会は「やる必要はない」というのが私の意見です。仮に実施するとしても、強制しないなどの配慮はした方が良いでしょう。

むしろ飲み会などの小手先の方法よりも、働きやすい環境づくりなど土台からしっかり固める方が長い目で見て効果的であると考えています。

⑤「文書化」で仕事のスピードや質を上げる

リモートでは顔を合わせる機会が少ない分、コミュニケーションが限られます。そこを「文書化」で補っていきます。

マニュアル化で仕事をどんどん進められるように

オフィスでは上司や先輩に質問しながら仕事を進めていくこともできますが(正直あまり効率的とも言えませんが)、リモートではそれが難しくなります。しかし、業務マニュアルを作成しておけば、先輩や上司に質問する機会を減らすことができます。

また、マニュアルには作業手順だけでなく、「こういう場合はこうする」などQ&Aや過去の事例も充実させることで、自分の判断で作業をどんどん進められるようにします。

「企業文化」も文書化し共有する

一部の企業ではマニュアルに加え、「企業文化の文書化」という方法も取り入れています。

  • 会社の成り立ち、社名の由来
  • オーナーの価値観
  • 判断基準
  • その価値感や判断基準に至る背景

こうしたことも文書化し、社員に浸透させていきます。こうすることで考え方、判断基準などが社内で統一され、仕事の質も向上していきます。また、各人の組織の一員としての意識を高めることもできます。

⑥「成果」を基準とした評価をする

リモート環境では「仕事ぶり(仕事をしている様子)」は見えませんから、「成果」を基準に評価することが重要です。どういう成果を基準に評価するかを明確にし、公平な評価につなげましょう

ただし、「成果」偏重になるのも要注意です。あくまでも「成果」を基準にしつつ、他の要素も考慮してバランスよく評価しましょう。

まとめ

  1. 中小は少人数・小規模が大企業には無い強みにつながりますが、リモートではこの強みをなかなか生かせません。
  2. IT関係への投資も後回しになり、リモートでの仕事効率が上がらないことがあります。
  3. マネジメントやコミュニケーションの取り方、評価方法などをリモートに合わせたやり方に変更しましょう。
  4. ITツールやIT機器、マニュアル化など、リモートで仕事しやすい環境づくりにも力を入れましょう。

リモートワークで生産性が下がるのは、リモートそのものが悪いのではなく、「リモートに合わせた仕組み」が整っていないことが原因です。

そこで、小さな改善の積み重ねれば、中小でも「リモートにも強い組織」を作ることができます。いきなり全てをこなそうとはせず、まずは情報共有の仕組み化や、タスク管理の導入から始めてみましょう。

尚、リモートワークにおける管理方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひお読みください。

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