これでリモートワークも怖くない!中小向け管理ツール導入ガイド

中小企業のためのリモートワーク管理術

リモートワークはコロナをきっかけとした一時的な流行ではなく、「働き方の一つ」として定着しつつあり中小企業も無視できなくなりつつあります。例えば、NIRA総研の調査によると東京圏でのリモートワーク利用率は、コロナ禍の2020年4~5月に40%近くまで上昇し、それから下降傾向にあるものの、2023年~2025年は横ばいで推移し20%以上を維持しています。リモートワークの利用率は業種や地域などによって異なりますが、一定の割合で定着していることがうかがでます。

しかし、中小企業の経営者や管理職にとって「リモートだと社員の進捗や業務状況が見えにくい」、「自律的に仕事をしてくれるか心配」などが悩みの種でしょう。リモートワークは社員の様子が見えない上、中小は人手も限られていますから、適切なツールを使って管理することが欠かせません。そこでこの記事では、中小企業に最適な管理ツールの選び方と、おすすめツールをご紹介します。

また、単にツールを使えば適切な管理ができるという訳でもありません。ツールの活用も大事ですが、一方で注意すべき点についてもお伝えします

私自身、中小企業で出社勤務をしていたこともあれば、リモートワーカーとしての勤務経験もあります。またリモートワークの基盤づくりや、リモートでの管理職的なポジションでの経験もあります。こうした経験に基づいて解説していきます。

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中小企業だからこそ管理ツールを活用すべき理由

中小企業では、大企業のようにシステム専門の担当者がいないだけでなく、人数も限られています。また、リモートワークの管理も経営者や管理職の仕事になるでしょう。

人手が少なく一人一人の守備範囲が広くて忙しい上に、リモート管理の仕事が更に増えることになります。ですから、特に中小企業ではリモートワーク管理にツールの導入が業務効率化の大きな鍵となります。ツールを上手く活用すれば、少ない人数でも以下のことが可能になるでしょう。

  • 進捗状況の可視化
  • コミュニケーションの円滑化
  • 業務効率化

ツールの導入や活用はとても大事ですが、一方で注意点もあります。

注意点①:管理ツールだけに頼ってはいけない!

間違っても「ツールだけで全てを解決できる」と考えてもいけません。なぜなら、ツールは業務を効率化し、負担を軽減させるための道具にすぎないからです。

例えば、工場に優れた機械を導入したからといって、それだけで良い製品が量産できるわけではありません。工場の生産ライン、品質検査、消耗品の管理など生産体制がしっかりしていなければ良い製品を量産することはできません。

リモートワークの管理も同様です。どんなに良いツールを導入しても、社内の体制が整っていなければ適切な管理はできません

もちろん現実的には、ある程度の管理体制を作り上げるまで試行錯誤など時間がかかります。それでも「このツールを使えば何もかも解決できる」ではなく、「社内の体制(仕組)を主体にツールを選ぶ」という視点を忘れないようにしましょう

ルールは「魔法の杖」ではなく仕組みが大事

注意点②:いきなり本格導入しない

優れたツールも、何の準備もせずに導入すると使いこなせず、宝の持ち腐れになってしまいます。そこで、以下のステップを踏んで導入しましょう。

ステップ1:目的を明確にする

先の注意点①とも関連しますが、まずは社内の体制・仕組みを考えます。その上で、「進捗の見える化をしたい」などの目的をはっきりさせましょう。

ステップ2:小規模チームでテスト運用する

いきなり全社に導入せず、まずは少人数でテスト運用します。テスト運用した結果や、実際に操作した人の意見なども取り入れつつ本格導入していきます。

もしテストの結果が芳しくなければ、違うツールに切り替えるなどの判断もしましょう。

ステップ3:社内研修の実施やマニュアルを作成する

社内研修やマニュアル作成でツールの使い方を社内で共有し、全員がスムーズに活用できる環境を整えましょう。

ツール導入3つのステップ

管理ツールを選ぶ際にチェックしたい3つのポイント

ひと口に「管理ツール」といっても、その種類はたくさんあります。数ある中で、どんなツールを選んだら良いのでしょうか? 特に中小企業が導入する場合、必ずチェックしたい3つのポイントをご紹介します。

① 操作が簡単で導入しやすいか?

どんな会社でも、ITツールに慣れていない人は少なからずいます。そこで、なるべく簡単にすぐ使えるツールを選びましょう

多くのツールは、無料で使えるプランが用意されています。まずは無料プランで操作性などを確かめてみましょう。

②高機能ではなく「コストパフォーマンス」が良いか?

高機能なツールは価格が高くなりがちです。そうでなくても、資金的な余裕があまりない中小企業にとって、いきなり高価なツールは大幅な負担増になりかねません。

そこで必要な機能が揃っていて、かつ月額料金が手頃なものを選ぶようにしましょう。

③ツール数を増やしすぎない

複数のツールを使うと、管理が煩雑になりがちです。進捗管理、コミュニケーション、ドキュメント共有などを一つのツールで完結できれば理想的ですが、あらゆる必要を満たせる「完璧なツール」はありません。よって、いくつかのツールを導入するのが現実的でしょう。

とはいえ、仮に無料で使えるツールでもあれこれ導入せず、本当に必要なツールだけに絞りましょう

ツール選定3つの条件

中小企業におすすめのリモートワーク管理ツール

「リモートワーク専用の管理ツール」というものはありません。しかし、以下に紹介するツールを活用することで、コミュニケーション、タスク、労働時間や作業時間などの管理を行えます。

チャットツール

リモートワークでは電話やメールは使わず、チャットによるコミュニケーションがメインとなります。

Chatwork

ビジネス用のチャットとして定番とも言えるツールです。簡単なタスク管理機能もありますが簡易的なものなので、本格的なタスク管理するなら他のツールを導入した方が良いでしょう。

Twist

太字、箇条書き、引用、絵文字が使えるので、チャットワークよりも多彩な表現ができます。タスク管理機能はありませんが、Todoistとの連携ができます。個人間メッセージにも対応しています。

Slack

グループチャット機能や、メンバーと個人的なやり取りをするといった基本的な機能に加え、メッセージの予約投稿機能や、自動的にメッセージを送信するボット機能、他のアプリとの連携など豊富な機能を備えています。無料プランの場合、90日以上前のメッセージやファイルが非表示になりますが(有料プランへのアップグレードで閲覧可)、他のツールと組み合わせれば十分使えます。

Google Chat

他の人には知られたくない個人間のメッセージ、少人数でのやりとりにオススメです。音声通話、ビデオ通話にも対応しているので、「話した方が早い」という場合でも使えます。

タスク管理ツール

誰が、何を担当しているのかや、それぞれのタスクの期限設定、進行状態の把握など、リモートワークではタスク管理が必須です。ぜひ、以下のようなツールでタスクをしっかり管理しましょう。

Todoist

シンプルな画面と操作性が特徴のタスク管理ツールです。各タスクにコメントできるので、タスク上でちょっとしたやり取りも可能です。

Trello

無料プランでも基本機能が十分で、小規模チームに最適です。ボード形式で視覚的にタスクが管理できるため、進捗が一目で把握できます。

時間計測ツール

日本では働き方改革関連法の施行により、企業は労働者の労働時間を把握する義務があります。

例えば、労働安全衛生法第66条の8の3では、事業者は厚生労働省令で定める方法により、労働時間の状況を把握しなければならないと規定されています。

また、労働安全衛生規則第52条の7の3では、タイムカードやパソコンの使用記録など、客観的な方法で労働時間を記録することが求められています。

そのため、時間計測ツールや勤怠管理システムの導入は、業務効率化だけでなく、法令に基づく労働時間管理を行う上でも有効です。

Toggl

シンプルな時間計測ツールです。ただ時間を計測するだけでなく、作業ごとに時間を計測することができるので集計も容易です。

Clockify

詳細なレポートを表示できるので、特定の業務でメンバーごとにどれだけの時間がかかっているかだけでなく、チーム全体でどれだけの時間がかかっているかも把握できます。生産性の改善などにも役立てられるでしょう。

労働時間の把握は盲点になりがち

多機能ツール

複数の機能を最初から持っているツールもあります。機能が多い分、慣れるまでに時間がかかることもありますが、できるだけツールを統合したい場合にお勧めです。

Notion

小規模チームの情報共有に向いているツールです。ドキュメント、タスク、データベースを柔軟に作成でき、カスタマイズもしやすくなっています。コメント機能もあるので、タスクごとのコミュニケーションツールとしても活用できます。

Wrike

タスク管理、時間計測、チャット機能が一つになっています。ただし高機能な反面、操作に慣れるまで時間がかかります。Todoistなどの他のツールに慣れてから、Wrikeにステップアップしていくのが良いかも知れません。

ファイル共有ツール

リモートワークでは、業務に必要な資料や作成したファイルをクラウド上に保存し、共有するのが一般的です。

Googleドライブ

無料でも15GBまでの保存容量があり、有料契約をすることで更に保存容量を増やすことができます。

また、ドキュメント、スプレッドシート、スライドなどのツールも最初から備わっているので、Microsoft Officeとの互換性が高く、基本的な事務作業であれば代替として活用できます。ただし、高度な編集機能や厳密なレイアウト再現が必要な場合は注意が必要です。

おすすめリモートワークツールのマトリクス

まとめ

  1. 管理ツールだけに頼り切るのではなく、まずは導入の前提となる社内の報告体制やルールをしっかりと整えることが大切です。
  2. ツールの選定時は「操作の簡単さ」と「コストパフォーマンス」を最優先し、現場の負担にならないよう必要最小限の種類に絞り込みましょう。
  3. いきなり全社で導入するのではなく、まずは小規模なチームでテスト運用を行い、マニュアル整備などを進めながら段階的に導入するのが失敗しないコツです。
  4. 自社の課題に合わせて、チャットやタスク管理、時間計測などの機能を適切に組み合わせることで、リモートワークの質は大きく向上します。

自社にぴったりのツールを賢く活用して、社員全員が自分らしく、リモートワークでも効率的に生き生きと働ける理想の環境を築いていきましょう。

リモートワークは最小限のツールを選び、仕組みを最大限に生かす

FAQ:リモートワークの管理ツールに関するよくある質問

Q1. 中小企業がリモートワーク管理ツールを導入する最大のメリットは何ですか?

A. 最大のメリットは、限られた人数で「業務の可視化」と「コミュニケーションの円滑化」を同時に実現できることです。中小企業では経営者や管理職が多くの実務を兼務しており、リモート環境下で一人ひとりの進捗を把握するのは大きな負担となります。そこで専用のツールを導入することで、誰がどのタスクにいつ取り組んでいるのかが一目で分かるようになり、管理側の工数削減につながります。

ただし、ツールはあくまで負担を軽減するための道具であり、導入の前提として「社内の報告体制や仕組み」を整えておくことが、活用の効果を最大化する鍵となります。

Q2. リモートワーク管理ツールを選ぶ際、失敗しないための基準を教えてください。

A. 導入後の形骸化(使われなくなること)を防ぐため、「操作の簡単さ」と「コストパフォーマンス」を最優先に確認してください。多機能すぎる高価なツールは、ITに不慣れな社員にとって使いにくく、教育コストや月額費用の面で中小企業の大きな負担になる恐れがあります。まずは必要な機能が揃っており、かつ手頃な料金で利用できるものを選びましょう。

また、管理が煩雑になるのを避けるため、最初から多くのツールを導入せず、本当に必要な種類に絞り込むことも重要です。多くのツールには無料プランが用意されているため、まずは少人数でテスト運用を行い、現場の意見を聞きながら自社に合うものを選定してください。

Q3. リモートワーク管理ツールで「社員のサボり」は防止できますか?

A. ツールの導入によって業務進捗や作業時間を透明化することは可能ですが、単なる「監視」を目的とした運用は避けるべきです。例えばTogglやClockifyなどの時間計測ツールを使えば、どの業務にどれだけの時間を費やしたかを客観的に把握でき、生産性の改善に役立てることができます。こうしたツールは「サボり防止」としてではなく、自律的な働き方の支援や、適切な評価・進捗管理のための「仕組み」として導入することが推奨されます。

なお、日本において企業には労働時間を客観的に把握する義務があるため、法的な遵守事項については厚生労働省のガイドラインなど、最新の公的情報を必ず確認してください。

ツールの目的は「監視」ではなく「支援」

Q4. 複数のツールを導入する場合、どのように組み合わせるのが効率的ですか?

A. 業務内容によりますが、一般的には「チャット」「タスク管理」「ファイル共有」の3つを基盤に整えるのが効率的です。例えば、日常的なやり取りはSlackなどのチャットツールで行い、具体的な案件の期限や進捗はTrelloやTodoistで管理します。また、作成した資料はGoogleドライブなどのクラウドストレージに保存することで、全員が常に最新の情報を共有できる環境が整います。

もしツールの使い分けが複雑になると感じる場合は、NotionやWrikeといった複数の機能が一つに統合された多機能ツールの検討も有効です。自社のITリテラシーに合わせて、無理なく運用できる最小限の組み合わせから始めてください。

ツール導入3つの組み合わせ
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