クレジットカード分けていないは合法でも要再考!理由と税務対策-個人事業主向けガイド

金色と黒の2枚のクレジットカード

一般的に「事業用とプライベート用とでクレジットカードを分けるべき」と言われます。これはあくまでも「実務上そうした方が良いですよ」という話であって、法律で分けるように決められてはいません

実際、クレジットカードを分けていない個人事業主も少なくありません。それでも、以下のようなことが気になっているという方も少なくないでしょう。

  • 「毎年、明細を見て記帳するのがすごく面倒」
  • 「カードを分けていないと、税務調査でどう突っ込まれるか?」
  • 「今さらカードを分けても意味がないのでは?」

そこで本記事では、現在クレジットカードを分けていない個人事業主向けに、以下の点を解説していきます。

  1. クレジットカードを分けた方が良いと言われる理由
  2. 個人支出と経費が混ざった大量の明細を1時間で処理する方法
  3. 税務調査が入った場合の調査ポイントと対策
  4. クレジットカードを分ける・分けないの判断ポイント
  5. 事業用カードを導入する場合の注意点

繰り返しになりますが、カードを分けていなくても法律上は問題ありません。しかし、分けた方が圧倒的に楽になるケースもあります。この記事を読めば、カードを分けていない現状をリカバリーする方法や、カードを分けるメリットを理解できるだけでなく、あなたが今からカードを分けるべきかもハッキリするでしょう。

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  1. クレジットカードを分けていない場合に生じやすい3つの問題
    1. 問題①:経理処理の複雑化とミスが起こりやすい
    2. 問題②:確定申告の準備が遅れやすい
    3. 問題③:税務署からの信用が低下する場合がある
  2. 溜まった「混在明細」を1時間で最速清算する4ステップ
    1. ステップ1:カード明細の「CSVデータ」をダウンロードする
    2. ステップ2:「キーワード」で一括フィルタリング
    3. ステップ3:経費の仕訳入力
      1. 会計ソフトでCSVを取り込む際の注意点
    4. ステップ4:会計ソフトの「自動仕訳」機能も活用
  3. 税務調査官は「個人支出と経費を分けていない」カード明細のどこを見るか?
    1. 調査ポイント①:個人支出の混入
    2. 調査ポイント②:個人支出を含むカード明細
    3. 調査ポイント③:説明に根拠や合理性があるか?
  4. 事業規模が小さいなら「あえてカードを分けない」選択肢もあり
    1. クレジットカードを分けなくても良いケース
      1. ①:経費の件数が非常に少ない
      2. ②:事業を始めたばかりで売上がほとんどない
      3. ③:会計ソフトで明細を自動取得・自動仕訳している
    2. クレジットカードを分けた方が良いケース
      1. ①:経費の件数が多い・内容が幅広い
      2. ②:確定申告・記帳をできるだけ簡単にしたい
      3. ③:将来的な事業拡大に備えたい
      4. カードを分けるべきか迷った場合の判断基準
  5. 後で後悔しないための「事業用カード導入チェックリスト」
    1. ①:事業用の口座から引き落とす
    2. ②:固定費のカードを忘れずに変更する
    3. ③:ポイントやマイルは原則として事業関連に使う
      1. ポイントやマイルをプライベートで使っても違法ではないが注意が必要
      2. ポイントやマイルの使い方は「ルール化」しよう
  6. まとめ

クレジットカードを分けていない場合に生じやすい3つの問題

冒頭でもお伝えしたように、クレジットカードをプライベートと事業用に分けていないのは違法ではありません。しかし、分けた方が良いと言われるのは以下の3つの問題点があるからです。

問題①:経理処理の複雑化とミスが起こりやすい

個人支出と事業経費が混在すると、どれが経費か1つずつ判断しなければなりません。作業が煩雑になるだけでなく、計上漏れや二重計上の原因になることがあります。

問題②:確定申告の準備が遅れやすい

明細を確認し、手動で振り分ける作業には膨大な時間がかかることがあります。本来の業務が圧迫され、確定申告の準備が遅れてしまいます。

問題③:税務署からの信用が低下する場合がある

個人支出と事業経費の混同が激しいと、経費全体の信憑性を疑われ、税務調査の対象になりやすくなります。実際に税務調査が入った場合、経費否認となり、延滞税や加算税がかけられるリスクがあります。

溜まった「混在明細」を1時間で最速清算する4ステップ

  • 「カードを分けた方が良いのは分かるけど、ずっと分けずに使っている」
  • 「プライベートと経費の支払いが混ざった明細が溜まっている」

このような方も少なくないでしょう。この場合、1件ずつ帳簿に入力するのは非効率です。そこで、以下のステップで効率よく処理しましょう。

ステップ1:カード明細の「CSVデータ」をダウンロードする

殆どのカード会社は、利用明細をCSV形式(Excelで開ける形式)でも発行しています。カード会社のウェブサイトにアクセスし、CSV形式で明細をダウンロードしましょう。

ステップ2:「キーワード」で一括フィルタリング

もし明細が数百件もあるとしたら、1行ずつ確認するのは非効率です。そこで、Excelの「フィルタ機能」を使って種類別に抽出します。手順は以下の通りです。

  1. 「利用内容(店名)」列でフィルタをかける。
  2. 「Amazon」「楽天」などのECサイトで備品購入をすることが多い場合は「消耗品費」の候補として抽出。経費に該当しないものは削除。
  3. 「Suica」「JR」「東京地下鉄」などは旅費交通費として抽出。経費に該当しないものは削除。
  4. 「NTT」「ソフトバンク」「ドコモ」などは通信費として抽出。経費に該当しないものは削除。
  5. その他、経費の支払先で思いつく店名でフィルタをかけ、経費に該当しないものは削除。
  6. コンビニや飲食店名は個人支出の可能性が高いので、基本的には一括削除。

この方法であれば、短時間で必要な明細を抽出できるでしょう。

ステップ3:経費の仕訳入力

ステップ1で抽出した明細を仕訳入力していきます。例えば、事務用品1,000円を個人カードで買った場合は、以下のように入力します。

借方:消耗品費 1,000円 |貸方:事業主借 1,000円

個人用のカードで経費を払っていますから、「事業主借」を使用することで「事業主個人からお金を借りて経費を支払った」という処理ができます

会計ソフトでCSVを取り込む際の注意点

会計ソフト(弥生やマネーフォワードなど)には、CSVを取り込む機能があります。とても便利な機能ではありますが、ステップ2で「削除もれ」があった場合など、間違って個人支出を取り込んでしまうこともあるでしょう。

万が一取り込んでしまった場合は、取り込んだ後に個人支出の明細を「対象外」として非表示するか、あるいは削除しておきましょう。

ステップ4:会計ソフトの「自動仕訳」機能も活用

「やよいの青色申告 オンライン」や「マネーフォワード クラウド」などのソフトは、一度仕訳したルールを学習してくれます。学習が進むとカードを分けていない状態でも、一度ルールを設定すれば、残りの明細もAIが自動で判別してくれるようになります。こうした機能もぜひ活用しましょう。

税務調査官は「個人支出と経費を分けていない」カード明細のどこを見るか?

クレジットカードを個人と事業とで分けていないケースについて、多くの記事では「税務調査のリスクがありますよ」とまでは書いてあります。しかし、税務調査官が「具体的に何を見るか?」まではあまり語られません。

そこで、このセクションでは調査官が注目する基本的なポイントと対策をお伝えします。もちろん、調査官によって調査方法に多少の違いがありますが、基本をしっかり押さえることで対策を立てることができるでしょう。

調査ポイント①:個人支出の混入

家族との食事代、衣類、個人の趣味で購入したものなどが経費に混じっていないか厳しくチェックします。

よって、完全な個人支出を間違っても記帳しないように注意しましょう。

調査ポイント②:個人支出を含むカード明細

経費を個人のカードで支払っている場合、調査官はカード明細の提示を求める権限を持っています。この権限を使い、個人の支払いを含むすべての利用明細」を細かくチェックすることもあります

そこで事業主は、個人支出を含むすべての明細を即座に提示できるよう保管しておきましょう。

調査ポイント③:説明に根拠や合理性があるか?

「なぜこの支払いが事業に必要なのか?」を調査官は質問します。これに対して事業主が根拠をもって説明できるかや、説明に合理性があるかなどをチェックします。

対策としては、即座に説明できる証拠(領収書やレシート)を、明細とセットで保管しておくことが不可欠です。また、家事按分比率の決め方なども、合理的に説明できるかどうかを確認し、必要であれば見直しや調整をしましょう。

事業規模が小さいなら「あえてカードを分けない」選択肢もあり

すべての個人事業主が、事業用のカードを作らなければならないという訳ではありません。事業の規模が小さく、経費の件数が少ないのであれば、あえてカードを分けないという選択肢もあります

実際、私は個人支出と経費を同じカードで払っています。経費の種類や件数がとても少ない上に、殆どが定期的に発生する経費のため、明細を見れば何が経費かすぐに把握できるからです。

尚、以下の記事ではカードを分けずに使う場合の実務上のポイント、さらには電子マネーで経費を払う場合の注意点なども解説しています。

とはいえ、人によって事業の規模なども異なるので、分けるべきか迷うこともあるでしょう。そこで、以下に「カードを分けなくても良い」場合と、「分けた方が良い」場合の判断基準を示します。

クレジットカードを分けなくても良いケース

①:経費の件数が非常に少ない

  • 月に数件程度(例:サーバー代、ソフト利用料のみ)
  • 毎月ほぼ固定費しかない

このように経費の件数がとても少なければ明細を見ただけですぐに経費を判別できますから、わざわざカードを分ける必要はありません。

②:事業を始めたばかりで売上がほとんどない

  • 開業直後
  • まだ赤字・準備期間

開業の初期段階では手間とコストを考えると、カードを個人と事業で共用するのが現実的です。将来的に売り上げが増えてきたなどの時点で、カードを分けるか判断すれば良いでしょう。

③:会計ソフトで明細を自動取得・自動仕訳している

  • freee、マネーフォワードなどを使用
  • ルール設定で経費だけ自動抽出できる

このようにある程度自動化ができているなら、カードが共用でも実務上の負担はそれほど無いため、分ける必要もありません。

クレジットカードを分けた方が良いケース

①:経費の件数が多い・内容が幅広い

  • 広告費、外注費、備品購入などが多い
  • 個人支出と混在しやすい

このようなケースでもカードが共用だと、仕訳ミス、経費計上漏れ、確定申告前の確認に時間がとられるなどが起こりやすくなりますので、分けた方が良いでしょう。

②:確定申告・記帳をできるだけ簡単にしたい

  • 明細=ほぼ全て経費
  • 仕訳の判断が不要
  • 税理士や会計ソフトとの連携が楽

事業用にカードを分けると上記のように後の処理がとても楽になり、時間の節約にもなります。

③:将来的な事業拡大に備えたい

  • 売上の増加
  • 外注・広告費の増加
  • 法人化を視野に入れている

このように将来の事業拡大を考えているのであれば、早めに「事業用のお金の流れ」を作っておくことで、将来的に融資を受けやすくなるなどのメリットもあります

カードを分けるべきか迷った場合の判断基準

現時点でクレジットカードを分けるべきか迷っている場合、以下の基準で判断してみましょう。

  • 経費が月5件以下 → 分けなくてもOK
  • 経費が月10件以上 → 分けた方が楽
  • 事業拡大予定あり → 早めに分ける
  • 開業直後・小規模 → 様子見で問題なし

後で後悔しないための「事業用カード導入チェックリスト」

いざ「カードを分けよう」と決めたとしても、単にカードを作るだけでは不十分です。後で面倒なことになり後悔しないためにも、以下のリストを確認しながら事業用カードを導入しましょう。

①:事業用の口座から引き落とす

カードだけでなく、カードの引き落とし口座も分けましょう。具体的には事業用口座(屋号付き口座など)を作り、支払元に設定します。こうすることで、公私の資金を完全に分離できます。

②:固定費のカードを忘れずに変更する

Amazon、Adobe、サーバー代、公共料金など、経費として継続的に発生するサービスでカードで支払っているものを全て洗い出し、支払いを事業用カードへ切り換えましょう。

③:ポイントやマイルは原則として事業関連に使う

事業用カードで貯まったポイントは、備品購入に充てることで経費削減になります。ちなみに、ポイントは「値引き」に近い扱いとなるので、ポイント利用分は経費にせず、実際にカードで支払った金額だけが経費となります。

ポイントやマイルをプライベートで使っても違法ではないが注意が必要

事業用カードで貯まったポイントをプライベートで使っても違法にはなりません。ただし、金額が大きいと「事業で得た利益を私的に使っている」ように見え、税務署から説明を求められる可能性があります。

そこで、数万円相当以上のポイントやマイルをプライベートで使う場合は、雑収入として計上し「事業主貸」として処理すると税務署にも説明しやすくなるでしょう。

一方、年間数千円程度の比較的少額のポイントであれば、特に雑収入などの処理をしなくても問題になりません。

ポイントやマイルの使い方は「ルール化」しよう

事業用のカードで貯まったポイントやマイルの使い方は、あらかじめルール化しておくと、税務署から突っ込まれたとして「こういうルールで管理しています」と説明できるので安心です。

ポイントやマイルの扱いは法律で決められてはいませんが、以下の目安を参考にルールを作っておきましょう。

  • 年間数千円程度 → 気にしすぎなくてOK
  • 年間1〜2万円超 → 雑収入として検討
  • 明らかに高額 → 雑収入として処理が無難

まとめ

  1. クレジットカードを分けていないと、経費の二重計上や計上漏れ、確定申告の準備が遅れる、税務調査の対象になりやすくなるなどのリスクがあります。
  2. 個人支出と経費が混在している明細が溜まっている場合は、カード会社のサイトからCSV形式の明細をダウンロードし、Excelのフィルタ機能を活用しながら効率よく処理しましょう。
  3. 万が一、税務調査が入っても慌てないよう個人支出を記帳しない、明細をしっかり保管しておく、経費の根拠となる領収書やレシートもしっかり保管しておくなどの備えをしておきましょう。
  4. 事業規模が小さく経費件数が少ない、明細を自動で処理できるなどの場合は、あえてカードを分けなくても大丈夫です。
  5. カードを分ける場合、単に事業用のカードを作るだけでなく、事業用の口座から引き落とすようにする、固定費なども漏れなくカードを変更する、ポイントやマイルの使い方をルール化するなどの対応も必要です。

クレジットカードを個人と事業とで分けていないのは合法ですが、分けておくことで時間の節約や、トラブル回避になることもあります。特に経費が多い、将来的に事業を拡大して法人化をしたいと考えているといった方は、今からでも遅くありませんのでカードを分けましょう。

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