
クロームブック(Choromebook)は価格が手頃で動作も軽いことから、学生やビジネスユーザーからも注目されています。しかし、いざ購入してみると「エクセル(Excel)が使えない」、「表計算はどうすればいいの?」と戸惑う人も少なくないようです。
実は、エクセルの代わりとなる表計算ツールや、クロームブックでエクセルを使う裏技もあります。ただし、他のPCとは異なり少し工夫が必要です。また表計算に限らず、クロームブックで何らかの作業をする場合は、他のPCと「根本的な考え方が違う」という点もしっかり理解しておかないと戸惑うことになるでしょう。
そこでこの記事では、以下の点を解説していきます。
この記事を読めば、クロームブックで使えるエクセルの代わりとなるツールが分かるだけでなく、どんなクロームブックの使い方が合っているかなどの判断材料にもなるでしょう。コスパのよいクロームブックを使い倒す方法を見つけましょう!
クロームブックにエクセルがインストールできない本質的理由
答え:クロームブックは、他のPCとはOSが異なるから
Microsoft社製のエクセル(Excel)は、WindowsやMacOS搭載のPC用のソフトウェア(アプリ)です。一方、クロームブックはGoogleが開発した「ChromeOS」という独自のOSを搭載しているため、Excelはインストールできません。
また、ChromeOSは「根本的な考え方がWindowsやMacOSと異なる」という点もぜひ覚えておきましょう。
重要ポイント:ChromeOSは、WindowsやMacOSと「根本的な考え方」が異なる
WindowsやMacOSは、様々なソフトウェア(アプリ)をインストールして使うことが前提となっています。
一方、ChromeOSは「クロームブラウザを使うことに特化したOS」です。WEB閲覧やブラウザ上の作業を前提とし、機能を絞ることで以下のようなメリットを実現しています。
- 本体が低スペックでも動作が軽い
- ①の結果として価格も比較的安い
- セキュリティが高い
- 端末の乗り換えも簡単
特にChromeOSは、サンドボックス構造などでウイルスへの耐性が高くなっています。そのため、従来のOSと比較して、不正プログラムによる感染リスクが極めて低くいという特徴があります。
尚、後述するようにChromeOSにもアプリを入れることもできますが、どちらかというと「補助・おまけ」的な位置づけです。
このように、「クロームブックは、WindowsやMacとはコンセプトが異なるPCである」という点を意識していないと、表計算に限らず何らかの作業をする場合に戸惑うことになりかねません。ぜひ、しっかりと理解しておきましょう。
クロームブックではAndroid版のエクセルを使えば良い?
クロームブックにはAndroid用のアプリをインストールできるので、これまではAndroid版のエクセルを使うことができました。しかし、2021年以降、MicrosoftはクロームブックにおけるAndroid版アプリのサポートを終了し、Web版(Microsoft 365)の利用を推奨しています。そのため、現在はストアからインストールしても最適化された動作は期待できません
実は他のAndroidアプリでも、クロームブックでは正常に動作しないことが少なくありません。実際、私もクロームブックでAndroidアプリを使っていますが、一部の機能が使えないことがあります。こうした点からも、Chromebookにおけるアプリの使用は「補助・おまけ」的な扱いとなっています。
でも、ご安心ください。Android版アプリが使えなくても、他の方法でエクセルや表計算を使うことができます。次のセクションで解説していきます。

クロームブックでエクセルや表計算を使う4つの方法
前述のように、クロームブックにエクセルをインストールできません。しかし、その代わりとなる方法が4つあります。しかも、いずれも基本的には無料です。それぞれ導入までの難易度の違い、メリットとデメリットがありますので合わせて解説していきます。

方法①:Microsoft 365でWeb版エクセルを使う
クロームブックで最も簡単にエクセルを使う方法は、ブラウザでMicrosoft 365(旧Office Online)を使う(Web版のエクセルを使う)ことです。メリットとデメリットを参照していただければ分かりますが、軽い作業(家計簿、業務報告書、見積書など)なら問題ありません。
Microsoft 365の導入難易度:低
Microsoft 365を使う方法は、以下のようにとても簡単です。
- ブラウザから「https://office.com」へアクセス
- Microsoftアカウントでログイン(アカウントが無い場合は作成が必要)
- 「Excel Online」を開く
Microsoft 365のメリット
Microsoft 365のデメリット

方法②:Googleスプレッドシートを使う
Googleは「Google Workspace」というサービスを提供しています(「Google版のOffice」のようなものです)。この中にある「Googleスプレッドシート」というアプリで表計算が使えます。Googleが開発しているアプリですから、クロームブックと相性は抜群です(そもそもクロームブックは「Google Workspaceを使うことを前提としている」と言っても良いでしょう)。
実は、Googleスプレッドシートで「.xlsx」形式のファイルの読み書きもできますが、デメリットもあります。よって、Googleスプレッドシートでは次のように作業するのがお勧めです。
- 基本的には、スプレッドシート形式(.gsheet)で新規作成・編集作業を行う。
- 必要に応じ、スプレッドシートをエクセル形式でダウンロードする。
- Excelファイルを開く場合は閲覧、簡単な入力などにとどめる(表示などの崩れを防ぐため)。
Googleスプレッドシートの導入難易度:低
クロームブックには、標準でGoogleスプレッドシートへのショートカットがあります。仮にショートカットが無くても、Google Driveを開けばすぐに使えます。いずれにしても、難しい設定不要ですぐ使えるのが魅力です。
Googleスプレッドシートとエクセルの違い
Googleスプレッドシートとエクセルはかなり似ていますが、細かい違いもあります。しかし、エクセルは個人利用のみで、マクロやVBAなど高度な機能を使っていないのであれば、エクセルからGoogleスプレッドシートに完全に乗り換えてしまっても問題ないくらいの違いです。実際、企業でGoogleスプレッドシートを使うケースも増えています。
両者の大まかな違いを把握したい方は、以下の表を参考にしてください。
| 項目 | Googleスプレッドシート | エクセル |
|---|---|---|
| 価格 | 無料(Googleアカウントでフル機能が利用可) | 無料(Microsoftアカウントで利用可。ただし機能制限あり) |
| 保存方法 | 自動保存(Googleドライブ) | 手動保存(Microsoft 365をオンラインで使う場合は、One Driveに自動保存) |
| オフラインでの利用 | 一部可能(機能制限あり) | インストール版以外では不可(Chromebookでは不可) |
| 共同編集 | リアルタイムで複数人編集可 | 共有は可能だが反映にタイムラグあり |
| 対応ファイル | .gsheet .xlsx 読み込み対応 | .xlsx .xls など |
| マクロ | 一部対応(Apps Script) | 完全対応(VBA) |
Googleスプレッドシートのメリット
Googleスプレッドシートのデメリット

方法③:リモートデスクトップ機能で、エクセルの入ったPCを遠隔操作する
クロームブラウザには「リモートデスクトップ機能」があります。この機能を使って、デスクトップ版エクセルがインストールされたたWindowsやMacのPCを遠隔操作できます。
リモートデスクトップの導入難易度:中
リモートデスクトップを使用するには、親PC(WindowsかMac)にもクロームブラウザをインストールしておく必要があります。また、別途リモートデスクトップの設定も必要です。尚、設定方法はネットを調べればすぐ分かります。
リモートデスクトップのメリット
リモートデスクトップのデメリット

方法④:Linuxアプリを使う
クロームブックには「Linux」というOS用のアプリもインストールできます。これは、ChromeOSがLinuxをベースとしているためです。Linuxアプリは種類が豊富で、Microsoft Officeの代わりとなるようなアプリもあります。例えば、「LibreOffice Calc」といったアプリを使えば、エクセルのファイルをそのまま使えます。
Linuxアプリは無料のものが多く、完全オフラインでも使用できるのが他の方法にはない大きなメリットです。
Linuxアプリの導入難易度:中~高
導入にはコマンドプロンプトを使用した設定も必要になるため、中級者以上向けの方法になります。尚、Linux環境の導入方法はネットで調べれば解説記事や動画がたくさんありますので、その通り操作すれば基本的には問題なく設定できます。
注意:低スペックのクロームブックではLinux非推奨
クロームブックでLinuxアプリを使うと、2つのOS(「ChromeOS」と「Linux」)を同時に動かすことになります。そこで、できるだけスペックに余裕のあるChromebookで使うことをお勧めします。
具体的にどの程度のスペックが必要になるかは、例えば「クロームブック・プラス(Chromebook Plus)」のスペックを参考にすると良いでしょう。Googleはクロームブック・プラスを、通常のクロームブックより「2倍の処理能力」を持つカテゴリとして位置付けおり、一般的なクロームブックよりも高い快適性や拡張性を重視しています 。
Googleの公式ヘルプでは、クロームブック・プラスのスペック要件として「Intel Core i3 第12世代以上または AMD Ryzen 3 5000 系以上、メモリ 8GB 以上、ストレージ 128GB 以上」が示されています 。クロームブックでLinuxアプリを使うことを想定するなら、このスペックに近いものがある程度快適に動作すると考えられます。また、もう少しスペックに余裕を持たせるなら、メモリ16GB、ストレージ128GBのモデルを選ぶこともできます。
Linuxアプリのメリット
Linuxアプリのデメリット


利用シーン別比較:あなたに合っている方法を見つけよう!
クロームブックで表計算を使う方法や、エクセルを使う方法を4つご紹介しましたが、それぞれに一長一短があります。
そこで様々な利用シーンを想定し、それぞれに合った使用方法を以下にご提案します。あなたに向いている方法を見つけましょう。
| 利用シーン | おすすめの方法 |
|---|---|
| エクセル・表計算は個人利用のみ | ・Microsoft 365(Web版) ・Googleスプレッドシート ・Linuxアプリ |
| 完全オフラインでも使いたい | ・Linuxアプリ |
| 低スペックのクロームブックで作業する | ・Microsoft 365(Web版) ・Googleスプレッドシート ・リモートデスクトップ |
| クロームブックは主に出先などで補助的に使う(メインはWindowsやMac) | ・Microsoft 365(Web版) ・リモートデスクトップ ・Linuxアプリ |
| クロームブックで、エクセルのフル機能を使いたい | ・リモートデスクトップ |
| クロームブック単体で作業を完結させたい | ・Microsoft 365(Web版) ・Linuxアプリ ・Googleスプレッドシート |

まとめ
- クロームブックは従来のPCとOSの仕組みが異なるため、ソフトをインストールするのではなく、ブラウザ上(クラウド)での作業が前提となります。
- 基本的な表計算であれば、Web版のMicrosoft 365やGoogleスプレッドシートを活用することで、無料かつ手軽にエクセルの代わりとして十分運用できます。
- マクロなどのフル機能が必要ならリモートデスクトップ、オフライン作業を重視するならLinuxアプリといった、用途に応じた「裏技」も選択肢に入ります。
- 自身の利用シーンや端末のスペックに合わせて最適な方法を組み合わせれば、ビジネスの現場でも仕事の効率を最大限に高めることが可能です。
クロームブックでエクセルを使うう裏技、エクセルの代わりに他の表計算を使う方法をご紹介してきました。それぞれにメリットとデメリットがありますが、あなたに合った方法を見つければ、クロームブックでも快適な作業ができるようになるでしょう。

FAQ:クロームブックでエクセルを使いたい場合によくある質問
Q1. クロームブックに、Windowsで使っているエクセルを直接インストールすることはできますか?
A. 結論から申し上げますと、Windows版のエクセルを直接インストールすることはできません。クロームブックはGoogleが開発した「ChromeOS」という独自のシステム(OS:コンピューターを動かすための基盤となるソフト)で動いており、Windows用のソフトウェアとは仕組みが根本的に異なるためです。
しかし、エクセルの代わりとして、ブラウザ上で動く「Web版エクセル(Microsoft 365)」や「Googleスプレッドシート」を活用することで、表計算の作業は十分に可能です。これらはアプリのインストールが不要で、インターネット環境があればすぐに使い始めることができます。従来の「ソフトをインストールして使う」という考え方から、「ブラウザ上でツールを使う」という考え方にシフトするのがクロームブックを使いこなすコツです。
Q2. 外出先など、インターネットがないオフライン環境でも表計算の作業はできますか?
A. はい、設定やツール選びを工夫することで可能です。Googleスプレッドシートの場合、あらかじめファイルごとに「オフラインで利用可能」にする設定をオンにしておけば、ネットがなくても閲覧や編集が行えます。
また、中級者向けの方法ですが、クロームブックで「Linux(リナックス:ChromeOSのベースとなっている別のシステム)」用のアプリである「LibreOffice Calc」などを導入すれば、完全オフラインでエクセル形式のファイルを扱うことができます。ただし、Linuxアプリの使用はパソコンに一定以上の性能を求めるため(メモリ8GB以上、ストレージ64GB以上を推奨)、お手持ちの端末スペックを事前に確認することをおすすめします。低スペックなモデルでは動作が不安定になる可能性があるため、基本的にはGoogleスプレッドシートやWeb版エクセルの利用が推奨されます。
Q3. 仕事でどうしてもマクロやVBAといった高度な機能を使いたい場合はどうすれば良いですか?
A. クロームブック単体(Web版エクセルやスプレッドシート)では、エクセルのマクロやVBA(作業を自動化するためのプログラミング機能)を完全に動かすことはできません。もし仕事でこれらの機能が必須な場合は、クロームブラウザの「リモートデスクトップ機能」を使うのが最も確実な解決策です。
これは、デスクトップ版のエクセルがインストールされている別のWindowsやMacのPCを、ネットワーク経由で遠隔操作する仕組みです。この方法なら、操作しているのはクロームブックであっても、実際に動いているのは別のPCであるため、マクロや複雑なレイアウト、アドイン(拡張機能)も制限なく利用できます。ただし、操作される側のPCが起動している必要があり、安定したインターネット接続が不可欠である点には注意してください。
Q4. 以前はAndroid版のエクセルアプリが使えたと聞きましたが、今は使えないのでしょうか?
A. 以前は利用可能でしたが、現在は推奨されていません。Android版のエクセルアプリは2021年以降、Microsoftによるクロームブック向けのサポートが終了しており、現在はインストールしても正常に動作しないケースが多いためです。
クロームブックにはAndroidアプリを動かす機能が備わっていますが、あくまでも補助的な位置付けになっています。そのため、無理にAndroid版アプリを使おうとするよりも、ブラウザからアクセスする「Microsoft 365(Web版エクセル)」を利用するのが、最も安定した運用方法です。公式サポートがある最新のウェブ環境を利用することで、予期せぬエラーやデータの破損を防ぎ、快適に作業を進めることができます。
Q5. 取引先から送られてきたエクセル(.xlsx)ファイルを、内容を壊さずに編集して送り返せますか?
A. 基本的な編集であれば可能ですが、注意も必要です。GoogleスプレッドシートやWeb版エクセルは、エクセル特有の「.xlsx」形式をそのまま読み書きする機能を備えています。しかし、複雑なグラフ、特殊な図形レイアウト、マクロなどが含まれている場合、読み込んだ際に表示が崩れたり、機能が失われたりすることがあります。
特に相手先と「全く同じ見た目」を維持してやり取りする必要があるビジネスシーンでは、そのまま送り返すと相手側の環境でレイアウトが崩れて見えるリスクがあります。もし正確な再現性が求められる場合は、前述のリモートデスクトップを利用して本来のエクセル環境で作業するか、編集後にPDF形式で書き出して内容に相違がないか確認してから送付するのが安心です。運用の際は、最新の互換情報を公式サイト等で確認することをおすすめします。

