
もしあなたが、リモートワークを導入した中小企業の経営者や管理職で、以下のように感じているなら、この記事はきっと大きな気付きを得られるでしょう。
リモートワークには通勤が不要などのメリットがある一方、「サボり」が起こりやすいとされています。そのため、多くの会社が「いかに社員のサボりを防止するか?」を考え対策を打とうとします。特に少人数体制の中小企業では、一人の生産性低下が会社の生産性に大きく影響しますから、そのように考えるのは無理ないでしょう。
しかし結論から言うと、「サボり対策」に力を入れるべきでありません。なぜなら、サボりを防止しようとすると仕事への意欲低下、離職につながるなど本末転倒の結果になりかねないからです。
そこで本記事は主に中小企業向けに、以下の点を解説していきます。
私自身、中小企業でのリモート勤務だけでなく、リモートワークの体制づくりや管理業務に携わっています。こうした経験に基づき解説していきます。
「サボり対策」に力を入れるべきではない3つの理由
理由①:そもそもサボりを100%防ぐことは不可能
リモートは以下のような理由で、サボりが起こりやすいとされています。
つまり、上記の理由だけを見れば「出社勤務とは異なる環境がサボりを誘発している」ということになります。
では、会社に来れば誰もサボらないでしょうか? 何を「サボり」とするかは色々な考え方がありますが、大抵の会社では以下のような「サボり」はよくあるでしょう。
- タバコ休憩(喫煙しない人からすればサボりでしかない)。
- 目の前の仕事に集中せず、おしゃべりしている。
- 隠れてスマホで遊んでいる(動画視聴、ゲームなど)。
- パソコンで仕事をするふりをして、業務以外のことをしている。
- 日中はダラダラと仕事し、夕方~夜に本気を出して残業代稼ぎをする(これも立派なサボり)。
つまり、出社しても何らかのサボりは必ず発生します。そうであれば、リモートのサボりを防ぐことはまず不可能でしょう。
理由②:リモートの「サボり対策」は厳しくなりがち
先にも触れたように、出社していてもタバコ休憩や私語といったサボりは発生します。しかし、余程のことがない限り「やることをやっていればある程度は大目に見る」ことも少なくないでしょう。
これに対し、リモートは以下のように社員を監視する方向に動き、結果として出社時よりも厳しくなることがあります。
出社以上に厳しくサボり規制しようとすると、監視されていることへのストレスが増えます。また、ちょっとした休憩や気分転換もできないと感じ、仕事への意欲を低下させてしまうでしょう。
いずれにしてもサボりを防止しようとして、社員のストレスを増やし、仕事への意欲を低下させては本末転倒です。
理由③:自宅では仕事を中断せざるを得ないこともある
特に自宅では、私的なことでも対応せざるを得ないことが起こります。例えば、「子どもが泣き出した」など家族の世話が生じることがあります。これは本人の意図と関係なく、一時的に仕事を中断せざるを得ない状況です。
ところが、サボり対策を厳しく行ってしまうと、こうした偶発的なことへの対応すらも非とするような雰囲気が作られてしまいます。結果として「働きにくい」、「息苦しい」と感じ離職にもつながりかねません。
リソースの少ない中小がリモートワークで本当にすべき対策
社員が自律的に成果を出せる仕組みを作ろう!
先のセクションで解説したように、リモートでサボりを100%防止するのはまず不可能ですし、サボりを防止しようとするほど仕事への意欲を低下させることになります。中小企業がこうした対策に、少ない人手や資金を割くのは避けるべきでしょう。
むしろ中小企業は、サボり防止よりも「社員が自律的に動き、成果を出しやすい仕組み」を作ることに力を入れましょう。このような仕組みであれば社員の意欲も向上し、結果としてサボりも減っていくでしょう。また、限られたリソースを有効活用できます。
具体的な方法を以下に紹介します。
①:タスク管理で業務の可視化を進める
タスク管理とは、何をするべきかを洗い出してリストアップすることです。その上で、以下の点を決めていきます。
- タスクの優先順を決める。
- 各タスクの期限を決める。
- 各タスクの担当者を決める。
これらをできるだけ細かく決めることによって、社員は「自分が何をいつまでにすべきか?」をハッキリ識別できます。また、よほどやる気のない社員でもない限り、「期限までに終わらせよう」という意識が働き成果も出しやすくなるでしょう。
また、管理職は各タスクの完了・未完了を確認し、遅れ気味のタスクがあれば担当者に確認を入れるなどの手を打てます。納期遅れを未然に防ぐことができるでしょう。
尚、タスク管理については以下の記事も参照してください。
②:日報を作成させる
業務の開始時、また終了時に日報を作成させます。「それがなぜ成果につながるの?」と思うかも知れませんが、意外と侮れない方法です。短いオンライン朝礼と組み合わせても構いません。
朝の日報で記入する項目の例
こうしたことを記入することで、今日やるべきことなどを整理でき、仕事モードへの切り替えができます。また管理職も、メンバーの調子、キャパシティなどを把握できます。
終了時に記入する項目の例
その日の振り返りを記入することで、気持ち的にも区切りをつけることができます。また、良かった点や改善点などを各自が分析することで、今後の生産性向上にも役立つことに何か気付くかも知れません。加えて、「振り返りをしっかり記入しなきゃいけない」という意識が働くので、結果としてサボり防止にもなるでしょう。
③:時間計測をさせる
各タスクにかかった時間を、ツールを使って各自に計測させることも生産性向上に有効です。
時間計測をすれば、「思ったよりも作業が早く終わった」、「思ったよりも時間がかかった」などが一目瞭然です。また、日報の振り返り時の参考にもできます。
不正計測をどう防ぐか?
時間計測ツールは作業者が自分で操作しますので、「不正に計測する人もいるのでは?」と思うかも知れません。確かに不正計測を100%防ぐことはできませんが、計測結果をチェックする仕組みを導入することで、ある程度は把握できます。
例えば、明らかに時間のかかり過ぎているタスクに対して「なぜこんなに時間かかったの?」などの確認を入れるなどの方法があります。こうした計測がごくたまになら「ただの計測ミス」かも知れませんが、頻繁にあるようなら不正計測も疑われます。
いずれにしても、計測時間もチェックしていることを社員が知れば、ある程度の不正計測の予防にもつながります。また不正計測を続けていると、やがてどこかで辻褄が合わなくなるので、定期的なチェックを続けることで不正を発見しやすくなるでしょう。
④:労働時間ではなく「成果」で評価する
日本では長らく、社員の労働時間で評価する習慣が続いていました(結果として無駄な残業が多く、労働時間が長い割に生産性が低い)。そして、労働時間による評価をリモートワークに持ち込むと、社員を常時監視するような方向に行ってしまいます。
しかし、何らかの「成果」を軸に評価すれば、社員を常時監視しなくて済みます。また社員も、「成果を出そう」という意識が高まり、サボろうとする気持も薄れるでしょう。
リモートワークにおける「成果」の例
「成果」と聞くと、売上がいくら向上したとか、何件契約を獲得した、ノルマを達ししたなどをイメージしがちです。しかし、ノルマベースの評価は社員を疲弊させることになります。
ここで言う「成果」とは以下のようなものを指します。
こうしたことタスク管理ツールや、メッセージの履歴、チームリーダーの意見なども踏まえて評価していきます。
社員にも成果の基準を明確に示しておく
あらかじめ社員にも成果の基準を事前に示しておくことで、モチベーション低下を予防することができます。
また、人によってリモートワークの向き・不向きもあるでしょう。こうした点を見極める上でも、成果ベースで評価するのが最適です。もし、明らかにリモートに向いていない社員がいれば、「あなたはリモートでの成果が出せていないので出勤してください」といった措置をとることもできます。成果の基準が明確であれば、反論も難しいでしょう。
まとめ
- 出社していてもサボりは起こりますから、リモートでサボりを防ぐことは不可能です。
- 勤務状況を厳しく監視しようとすると、かえって仕事への意欲を低下させることになります。
- 自宅では家族の世話なども必要になるので、サボり対策を厳しくすると働きにくいと感じます。
- サボり対策ではなく、社員が自律的に動き成果を出しやすくなる仕組み作りに力を入れましょう。
- 社員が自律的に動くようになれば、結果としてサボりも減っていくでしょう。
中小企業だからこそ社員一人ひとりのモチベーションを大切にし、リモートでも生産性を向上させるような仕組み作りに力を入れましょう。
尚、タスク管理などリモートワークの生産性を向上させるツールについては、以下の記事を参照してください。



