
Google検索広告を運用していて、キーワードの設定、クリック単価の設定、コンバージョンの設定などもちゃんとしているのに、こうした状況が続くとストレスを感じるものです。広告費が取られるだけで集客できない、採算が悪いなどでネット広告から撤退してしまう人もいます。
実際、私も同じような悩みを抱え、一時は広告を出すのを止めようかと思ったほどです。しかし、調査や分析を続けた結果、一見便利で高い成果を出しそうに見えるレスポンシブ検索広告が意外と厄介ものだと分かりました。
そこで様々なテストを繰り返した結果、レスポンシブ検索広告のコンバージョン単価を約3分の1に抑えることができました。もちろん、成果は業種や設定状況によっても左右されますから、誰でも同じ成果を出せるとは限りません。あくまでも、私の運用実績においてコンバージョン単価を抑えることができた手法も交えつつ以下の点を解説していきます。
個人事業主や小さな会社は、そこまで大きな広告費を掛けられません。必然的になるべく少ない広告費で、できるだけ多くの成果(コンバージョン)を得ることがネット広告運用ではとても重要です。そこで、この記事を読めば検索広告だけでなく、ディスプレイ広告、また他社のレスポンシブ広告でも、費用対効果の高い広告運用ができるようになるでしょう。
レスポンシブ広告は万能ではない?
レスポンシブ検索広告は、広告主が作成した複数の見出しと説明文を組み合わせて自動で広告を作成します。
ただ機械的に組み合わせるのではなく、どんな組み合わせだと成果を出しやすいかを自動で学習し、個々の検索ユーザーに対して最も成果が出やすい広告を表示します。運用が進むほどシステムの学習が深まり、より成果が出やすくなるとされています。
また、それぞれのデバイスの画面幅に合わせて、見やすい広告を表示するようにも自動で調整してくれます。
このように、レスポンシブ検索広告は、広告主があまり手をかけなくても成果が出やすいように自動で広告を出してくれるという特徴があります。
一見、すごそうに見えるレスポンシブ検索広告ですが、決して万能ではありません。むしろ、以下のようなデメリットもあります。
デメリット1:組み合わせの指定ができない
Googleのレスポンシブ検索広告は、最大で15個の見出しと、4つの説明文を広告主が設定します。そして、それらをシステムが自動で組み合わせて広告を表示します。
しかし、どのような組み合わせで表示するかの指定はできません。そのため、組み合わせによっては以下のよう広告が表示されてしまうことがあります。
見出しや説明文の表示位置を固定する機能をフルに使えば、指定した組み合わせで広告を表示できます。ただし、完全に固定してしまうとレスポンシブ広告のメリットを生かせなくなるので、どうしても必要な箇所以外、なるべく固定しない方が良いでしょう。表示位置の固定については、Googleのヘルプも参照してください。
デメリット2:クリックはされるけどコンバージョンが発生しにくい
これはデメリット1と関連しますが、レスポンシブ広告は自動で見出しと説明文を組み合わせテストを行い、よりクリックされやすい組み合わせで表示するように学習していきます。
ところが、組み合わせによっては以下のような弊害もあります。
こうなると、広告はクリックされるけど、LPでコンバージョンが取れません。私が運用していた広告も、クリック率(CTR)は概ね10%を超える高いCTRを維持できていましたが、コンバージョンが殆ど発生しない状況が続いていました。
検索広告は基本的にクリック課金ですから、コンバージョンが取れない無駄なクリックはできるだけ少なくしたいものです。
デメリット3:見出しと説明文の質が低くなる
Googleは1つの検索広告につき最大で15個の見出しと、4つの説明文を設定する枠があります。そしてGoogle側も、これらの枠を全て埋めることを推奨しています。
ところが、実際にやってみると見出し15個、説明文4つを一気に作るのは結構大変です。それでも「Googleが推奨しているのだから」と無理矢理作ろうとすると、結果として「枠を埋めるだけのやっつけ仕事」になってしまい、質の低い見出しや説明文(アセット)が増えてしまいかねません。
こうして質の低いアセットが増えると、ユーザーのニーズとズレが生じやすくなり、結果としてコンバージョンにつながらない無駄なクリックを誘発したり、広告の品質評価が低下したりするリスクがあります。

私がコンバージョン単価を「3分の1」にした方法
私はある事業で、Google検索広告を運用していたことがあります。そこそこ集客はできるようになりましたが、広告費もかなりかかってしまい採算が取れませんでした。
一時は広告を止めようと思ったこともありますが、諦めず色々な方法を試した結果、コンバージョン単価が下がり採算も改善していきました。以下は2023年1月~2024年7月までの、Google検索広告の概要で、青いラインが「コンバージョン単価」、赤いラインが「クリック数」です。まずは青いラインに注目なさってみてください。(マイクロコンバージョンを含んでいます)。

改善前はコンバージョン単価が安定せず、時には4000円近くまで上がることもありました。
しかし、2023年11月ころ(赤矢印)に大幅な改善を行った後は、同年12月からコンバージョン単価が大幅に下がり安定していきました。比較すると以下のようになります。
このように、広告の改善後はコンバージョン単価が約3分の1になりました。
尚、2023年11月のクリック数は大幅に減りましたが、その後回復しています。これは、システムの学習が進んだためと考えられます。
では、どんな改善をしてコンバージョン単価を下げたのでしょうか? 主に3つのポイントがあります。
- 1つのターゲットに絞って広告を作る。
- 広告の「説明文」を先に作る。
- 見出しと説明文の数は最小限にする。
以下のセクション以降で、1~3を一つずつ解説していきます。
改善策1:1つのターゲットに絞って広告を作成する
コピーライティングを勉強すると、「広告1つにつき、1つのターゲットを狙って作りましょう」と学びます。これは広告の大原則と言っても良いでしょう。
私もこの原則は十分承知していました。ところが、「ユーザーに合わせて見出しや説明文を組み合わせるレスポンシブ広告なら、1つの広告に複数のターゲットを設定しても良いでは?」と考えてしまったのです。そして、一つの広告に複数のターゲットを想定して作ってしまうという大きな間違いをしてしまいました。
でも、よく考えてみると、システムは機械的に最適な組み合わせをテストするものの、必ずしも広告主が意図した特定のペルソナ(ターゲット像)に合わせた広告を表示するとは限りません。例えば、1つのレスポンシブ広告で3つのターゲットを狙ってしまうと、以下のような広告が表示されたとしても決して不思議ではないのです。
このように、ターゲット層がブレた「チグハグ広告」では、いくらクリックされてもコンバージョンにつながらないのは当然です。そこで、「1広告に1ターゲット」の原則に戻り、広告を作りなおしました。

冷静に考えてみれば当たり前の話なのですが、何でもっと早く気が付かなかったのだろうと、私自身かなり後悔しているポイイントです。
複数のターゲットに広告を出したい場合は?
複数のターゲットに広告を流したい場合は、ターゲットごとに広告を分けて作ります。
尚、Google広告の場合、一つの広告グループ内で有効(オンの状態)にできるレスポンシブ検索広告は3つまでという制限があります。ですから、3つ以上のターゲットに広告を出したい場合は、広告グループを分けるか(キーワードも広告グループごとに分ける必要がある)、3つのターゲットだけに絞るなど工夫が必要です。
広告グループを必要以上に細かく分けてしまうと、Googleのシステム学習が進みにくくなるので注意が必要です。実際、Googleの公式ヘルプを見ると、アカウント構造をシンプルにするよう推奨されてます(アカウント構造の基礎、アカウント設定のベスト プラクティスなどを参照)。その理由は、AIが効率的に学習するために十分なコンバージョンデータが必要だからです(広告グループを細分化しすぎると、1つのグループあたりのデータが少なくなり、AIが正解を見つけるのに時間がかかる、判断を誤る原因になる)。ですから、可能な限り関連性の高いものは集約し、データ密度を高めることが現在ではベストであるとされています。
改善策2:説明文→見出しの順に作成する
Googleの広告作成画面を開くと、まずは見出しの作成欄があり、その次に説明文の欄が出てきます。なので、何となく「まず見出しを作り、次に説明文を作る」という順番で作業してしまうかも知れません。私も当初はそのように作っていました。
しかし、ここもよく考えるとこの作成手順は正しくない(本質的ではない)ことに気が付いたのです。そこで手順を逆にし、まずは説明文を作り、それから見出しを作るように改善しました。
なぜ、説明文を先に作るべきか?
Google広告の説明文とは、「広告で主に伝えたいこと」です。そして、広告を見たユーザーの多くが、説明文を読んだ上で「もっと知りたい(クリックしたい)」かどうかを判断します。ですから、説明文の役割はとても重要です。
しかし、いきなり説明文を読む人はそう多くありません。そこで、まずは見出しでユーザーの注意を引きます。そうすると、一定の人が説明文を読んでくれるようになります。
とはいえ、「単に注意を引く見出しにすればよい」というものでもありません。例えば、あなたが何かの広告を目にしたとします。その広告の見出しが、説明文の内容が全く関係のないものだとしたらどう思うでしょうか? 恐らく「何を言いたいの?」、「よく分からない」などと感じ、興味を失うのではないでしょうか?
こうした点を考慮しますと、見出しは説明文を中心(軸)に考えて作らないと成果が上がりにくいことが分かります。私はこうした「広告文の本質」に気が付いたので、以下の手順で広告を作り直していきました。
- 誰に、何を伝えるか(コンセプト)を明確にする。
- 1を元に、興味を引きそうな説明文を作成する。
- 説明文を軸に、注意を引きそうな見出しを作成する。

尚、説明文を先に作ったことで、結果として「見出し作りが楽になる」というメリットも生まれました。
以下の記事では、実際の事例を基にコンセプト作りから、説明文、見出しの作成について詳しく解説しています。あわせてぜひお読みください。

参考:「AIDAの法則」にGoogle広告を当てはめると?
コピーライティングや、マーケティングを勉強すると「AIDAの法則」が必ずと言ってよいほど登場します。
詳細はネットや本で調べていただければと思いますが、AIDAの法則を簡単に言いますと、「人が広告を見てから購入や登録などの行動を起こすまでの心理」を解説したものです。AIDAの法則では、消費者心理を以下の4つの段階に分けており、それぞれの頭文字のとって「AIDA」と呼んでいます。
- Attention(注意を引かれる)
- Interest(興味や関心を持つようになる)
- Desire(欲しい、知りたいなどの欲求を起こす)
- Action(購買、登録などの行動を起こす)
本来、AIDAの法則は、広告だけでなくLPやオファー(特典)なども含めたマーケティング全体で考えるものです。ビジネスにおける最終的なAction(購入や成約)につなげるには、LPとの一貫性が不可欠であるという点に注意が必要です。それでも、あえてAIDAの法則を広告の枠内だけで捉えるとするなら、クリックがひとまずの「Action」となるでしょう。
- Attention:見出しを見て注意を引かれる。
- Interest:説明文を読んで興味や関心を持つ。
- Desire:説明文を読んでもっと知りたいと思う。
- Action:広告をクリックする。
このようにAIDAの法則でGoogle広告を考えてみると、説明文で興味・関心だけでなく、ある程度の欲求も起こさせる必要があります。しかも、限られた文字数でこれらを実現しなければなりません。この点からも、説明文の役割はとても重要だということが分かります。
改善策3:見出し・説明文の数は最小限にする
Googleの検索広告は、最大で見出し15個、説明文4つを設定できます。そして、先にも述べた通り、Googleはできるだけ多くの見出しと説明文を設定するように推奨しています。
ところが、これはあくまでも「推奨」であって必須ではありません。実際には見出し3個、説明文2つ作れば広告を出すことができます。
そこで私は、先に紹介した改善策1~2を踏まえた上で、どんな組み合わせでも変な日本語にならないよう、2つの説明文と、見出し3~4個だけで広告を出しました。Googleの推奨設定を完全に無視した形になりますが、結果としてコンバージョン単価を下げることができました。

なぜ見出し・説明文は少ない方が良いのか?
なぜGoogleの推奨とは逆のことをしたら、コンバージョン単価が下がったのでしょうか? 私の推測になりますが、以下のようなことが考えられます。
- 日本語として変な広告が出なくなり、クリックの質が高まった。
- 見出しと説明文の組み合わせ数が減り、システム側のトライ&エラーが減った。
- 1~2の要因でGoogleの学習が進みやすくなった。
- 結果としてコンバージョンにつながりやすいクリックが増えた。

日本語として多少変な広告も「これって何だろう?」とむしろ注意を引き、クリックされることもあるでしょう。しかし、ユーザーは興味本位でクリックしただけなので、コンバージョンにはつながりにくくなると推測されます。
ところが、こうした興味本位のクリックでも、Googleのシステムには「クリックされた」というデータとして蓄積されます。もちろん、コンバージョンの有無も踏まえてシステム側も学習していると考えられますが、「コンバージョンにつながらないクリック」はなるべく少ない方が良いでしょう。
いずれにしても、「Googleの推奨設定が正解とは限らない」ということがよく分かります。

まとめ
- 「1広告につき1ターゲット」を徹底する:複数のターゲットを詰め込むとメッセージがブレてしまうため、特定のペルソナに絞り込んで作成することが成約への近道です。
- 説明文を先に作成し、次に見出しを作る:広告の核となる「伝えたいこと(説明文)」をまず固め、それを軸に見出しを考えることで、一貫性のある響く広告文になります。
- アセット数はあえて最小限に絞り込む:見出しを3〜4個、説明文を2個程度に厳選することで、不自然な組み合わせを防ぎ、AIの学習効率とクリックの質を高めることができます。
- Googleの推奨設定が正解とは限らない:推奨通りに枠を埋めることよりも、日本語として自然で、ユーザーの意図に沿った内容にすることがコンバージョン単価の削減に繋がる場合がああります。
個人事業主や小さな会社は、そこまで大きな広告費を掛けられませんから、なるべく少ない広告費で、できるだけ多くのコンバージョンを得ることが、ネット広告運用ではとても重要です。ぜひこの記事でお伝えしたことを実践し、費用対効果の高い広告運用を目指しましょう。

FAQ:レスポンシブ検索広告に関するよくある質問
Q1. レスポンシブ検索広告とはどのような仕組みですか?
A. 広告主があらかじめ設定した複数の見出し(最大15個)と説明文(最大4個)を、Googleのシステムが自動的に組み合わせて表示する広告形式です。機械学習(AIがデータから法則性などを学習する)によって、検索ユーザーごとに最も成果が出やすいと予測される組み合わせが選択されます。また、スマートフォンのように画面幅が異なるデバイスに合わせて、最適な表示形式に調整される点も大きな特徴です。運用者が手動ですべてのパターンを作成・テストする手間を省き、効率的に広告運用を行えるメリットがあります。
Q2. レスポンシブ検索広告で、クリックはされるのにコンバージョン(成約)に繋がらない原因は何ですか?
A. 主な原因は、システムが「成約しやすさ」よりも「クリックされやすさ」を優先して学習してしまうことにあります。そのため、広告主の意図やLP(ランディングページ:広告をクリックした後に表示されるWebページ)の内容とズレた組み合わせが表示され、興味本位のクリックばかりが増えてしまうことがあります。また、複数のターゲットを1つの広告に詰め込みすぎると、メッセージが支離滅裂な「チグハグ広告」になり、ユーザーの不信感を招くこともあります。改善には、まず1つの広告につき1つのターゲットに絞り込むことが不可欠です。
Q3. 見出しや説明文は、Googleの推奨通りに上限まで登録しなければいけませんか?
A. 必ずしも上限まで登録する必要はありません。Googleは多く登録することを推奨していますが、無理に枠を埋めようとすると内容の質が低下し、かえって成果を悪化させる原因になりかねません。むしろ、どの組み合わせになっても意味が通じ、日本語として自然なものにするためには、見出しを3〜4個、説明文を2個程度に厳選した方が効果的です。素材数を絞ることで、システム側の試行錯誤(トライ&エラー)の回数が減り、コンバージョンに繋がりやすい質の高い学習が早期に促進されるというメリットも期待できます。
Q4. 複数の異なるターゲット層に広告を配信したい場合、どのように設定すべきですか?
A. 広告のメッセージがブレないよう、ターゲットごとに個別の広告を作成するのが基本原則です。ただし、Google広告では1つの広告グループ(広告を管理する最小単位)に配信できる広告数は最大3つまでという制限があります。そのため、4つ以上のターゲットに配信したい場合は、広告グループ自体を分けるか、優先順位の高い3つのターゲットに絞り込むなどの工夫が必要です。なお、広告グループを細かく分けすぎると、データの蓄積が分散してシステムの学習が進みにくくなる側面もあるため、運用のバランスを考慮することが重要です。

