
中小企業や個人事業がLINE公式アカウントを活用し、新規集客や既存客との関係強化に活用することが増えています。もしかすると、あなたも「LINE公式アカウントを導入したほうがいいのかな?」とお考えかも知れません。
LINEのユーザー数は、日本国内での9,500万人を超えています。また、年齢や性別を問わず幅広く利用されているため、ビジネスでの活用価値は非常に高いと言われています。
とはいえ、LINE公式アカウントにはメリットだけでなく、デメリットや見落としがちなリスクも存在します。特に中小・個人事業は、安易に導入すべきではありません。
そこで、この記事では主に中小企業・個人事業向けに、以下の点を解説していきます。
LINE公式アカウントは、ただ導入すれば良いというものでありません。そこで、LINE公式アカウントを導入しても大丈夫か? それとも見送るべきか? この記事を判断材料の一つとしてお読みください。
LINE公式アカウントとは?
LINE公式アカウントは、企業や店舗、団体などがLINE上でユーザーとつながるためのビジネス用アカウントです。友だち登録したユーザーに対して、以下のような機能が使えます。
こうした機能を上手く活用することで、新規集客、既存顧客との関係強化、来店促進につなげていくことができます。
中小・個人事業がLINE公式アカウントを活用するメリット
誰かに直接メッセージを届けるメディアとしては、これまでメルマガやチラシ、あるいはダイレクトメールの郵送などが主流でした。しかし、こうした既存メディアにもデメリットが増えています。
一方、LINEには従来のメディアにはないメリットがあります。以下にそのメリットをご紹介します。
①:到達率や開封率が高い
LINEメッセージは、メルマガやチラシなどと比較し以下のようなメリットがあります。
LINEはメルマガやチラシよりも届きやすい上に読まれやすいため、「新商品入荷のお知らせ」、「今週末だけの限定クーポン」などのタイムリーな情報をしっかり届けることができます。
②:低コストで始められる
LINE公式アカウントは月200通までなら無料で送れるため、初期投資ゼロで始めることができます。友だちの数が少ない場合は、まずは無料プランから始めてみましょう。
実際に運用して反応や登録者数を見ながら、有料プラン(月5,000円〜)へ移行すると良いでしょう。
③:顧客との接点が深まる
LINEはユーザーにとって「友人との会話ツール」です。開封率も高いため、企業が定期的にLINEメッセージを届けることで、お客さんとの距離感を縮めることができます。
④:クーポンやスタンプカードでリピート促進を図れる
来店頻度や購買頻度が下がっている顧客に対しスタンプカードやクーポンを送ることで、再来店や再購入を促すことができます。
メルマガでもこうしたことは可能ですが、LINEの方が開封率が高いので、より効果的と言えるでしょう。
⑤:新規集客にも使える
LINEは新規集客にも使えます。例えば、ネット広告などでアクセスを集めた上で、クーポンなどの特典を付けて友だち登録を促すことができます。
また、登録しただけでまだ購入には至っていない「見込み客」には、LINEステップを使ってメッセージの自動配信を行うことで興味・関心を高め、購入につなげることもできます。
⑥:データ分析ができる
リッチメッセージやボタンのクリック率、配信ごとの反応を計測できます。こうしたデータを活用することで、感覚に頼らない現状分析と改善ができます。
LINE公式アカウントのデメリットや潜在的リスク
①:配信数に応じて料金が上がる
LINE公式アカウントは「メッセージ通数課金制」です。
以前は、月1,000通まで無料でしたが、現在無料プランでは「月200通」が上限となっています。つまり、友だちが200人いれば、月に1回メッセージを送っただけで上限に達します。いずれにしても、LINE公式アカウントは、友だち数が増えればその分コストも上がる点に注意が必要です。
もし、上限を気にせずメッセージを送りたいのであれば、「エキスパ」などの外部サービスも活用すると良いでしょう。
②:ブロック率が高くなる場合もある
メッセージの送り方に注意しないと、簡単にブロックされてしまいます。例えば、以下のような送り方は避けた方が良いでしょう。
一度ブロックされると、再び接触するのは難しくなるので注意が必要です。
③:運用負担が大きい
LINE配信は「継続的な運用」が必要です。
最低でも、週1〜2回でもメッセージを考えて作成し、配信スケジュールを組む必要があります。また、画像の作成が必要になる場合があるでしょう。
いずれにしても、「片手間での運用は難しい」という現実があります。
④:企業間取引には向かない場合がある
LINE公式アカウントは、一般のお客さんを対象としたビジネスには向いていますが、企業間取引には向かない場合があります。
例えば、税理士、コンサルタント、士業、建設業など、意思決定権者と直接つながれるビジネスには使えなくはないでしょう。しかし、ある程度規模の大きな企業が相手の場合は向いていません。
⑤:プラットフォーム依存のリスク
LINEは外部サービスです。そのため、以下の要因で「突然使えなくなる」というリスクが潜んでいます。
特にLINEがある日突然消滅すると、友だち(顧客)との接点を一気に失うことになります。LINEが無くなる可能性はまだ低いとしても、規制強化などで実質的に使えなくなる可能性は十分あります。
「考えすぎでは?」と思われるかも知れませんが、2021年の新聞報道ではLINEの個人情報管理の問題点が明らかになっています。そこで、将来的に何らかの規制がかけられることも想定し、LINEだけに依存しない体制作りが不可欠です。
⑥:公式アカウント凍結のリスク
LINEをビジネスに使っていたところ、「公式アカウントが突然凍結された」という例も少なからずあります。凍結の主な理由として以下のものが挙げられるでしょう。
凍結は運営の判断により、予告なく行われます。復活もできないため、一度凍結されれば友だちもメッセージ履歴もすべて無くなります。こうしたリスクを考えても、LINEだけに依存しない体制が不可欠であることが分かります。
尚、特定の商材はLINEの規約で禁止されているため、該当する場合はLINE公式アカウントの導入は避けた方が良いでしょう。
LINEだけに依存しない!代替手段も用意しておこう
ここまでで解説したように、LINEにはメリットもあればデメリットもあります。
特にLINEだけに依存していると、LINEが突然使えなくなった時のダメージはかなり大きいです。ぜひ代替手段を用意し、LINEのリスクを事前にカバーしておきましょう。
注意:SNSはLINEの代替手段にはならない
間違っても、SNSをLINEの代替手段として考えてはいけません。なぜなら、SNSもLINEと同じ「外部プラットフォーム」であり、「ある日突然使えなくなる」リスクがあるからです。
もちろん、SNSを絶対使ってはいけないという訳ではありません。しかし、代替手段としてはふさわしくありません。あくまでも、「SNSはLINEと並行して使う」程度にとどめておくのが良いでしょう。
LINEの代替手段はこの2つ!
では、LINEの代替手段として何を使えば良いのでしょうか? 結論から言うと、以下の2つになります。
ここまでお読みになって、「メルマガは到達率や開封率が低いって言っていたじゃないか!」、「今の時代にダイレクトメールは無いでしょ」と思われるかも知れません。しかし、この2つをLINEの代替手段として紹介しているのには理由があります。
- 大抵の人はメールアドレスを持っている。
- 特別な事情が無い限り、誰しも必ず住所がある(郵便を届けられる)
- ダイレクトメールを活用する企業は減少(競合が減っている)
- Eメールも郵便もプラットフォームへの依存がない
Eメールや郵便は「インフラとして確立されているメディア」と言っても過言ではありません。ですから、余程のことがない限り消滅はしません。よって、メールアドレスや住所のリストさえ持っていれば、仮にLINEやSNSが消滅してもお客さんにコンタクトを取り続けることができます。
LINEよりもメルマガ読者の方が「顧客の質」が高い?
先にもお伝えしたように、メルマガはLINEよりも到達率や開封率が低いというデメリットがあります。ところが意外なことに、「LINE登録者よりも、メルマガ読者の方が質が高い(購買につながりやすい)」とも言われています。これには幾つかの理由があります。
つまり、「メッセージの到達率や開封率が高いからLINEの方が優れている」とは言い切れないということです。
また、商材や業態によってメルマガが向いている場合と、LINEが向いている場合があります。以下に、それぞれのケースを簡単にご紹介します。ただし、判断が難しければ、メルマガとLINEの両方をテストしてみましょう。
メルマガ向いているケース
LINEが向いているケース
事例:LINE公式アカウントを使った新規集客方法
私は以前、ある事業でネット広告を使い、ゼロから集客を行っていました。
当初は、ネット広告から直接問い合わせを獲得しようとしていました。でも、コスパが良くないためLINEを導入し、以下のようなやり方に変えました。
- ネット広告でアクセスを集める
- LINEかメルマガ登録を選んでもらう(いずれの登録者にもクーポン進呈)
- LINE登録した人に、LINEステップで定期的にアプローチする
結果的に、問い合わせを倍以上増やすことができましたできました。
LINE導入で問い合わせが増えた要因
なぜ、LINE導入で問い合わせが増えたのでしょうか? 私は以下のように分析しています。
- 商材がBtoCだったこと
- アクセスの殆どがスマホユーザーだったこと
- ターゲットの年齢層が50代以上だったこと
- 上記の理由から、LINEの方が(操作性の観点でも)登録しやすい
登録者が増えたことで、結果として問い合わせを増やすことができたと考えられます。
なぜLINEステップを使ったのか?
私がLINEステップを使ったのには理由があります。
- テストの結果、商材が「半潜在的な需要」向きであると判明した
- 顧客によって商材が合う・合わないがあるため「事前の教育」が必要であった
- 1と2の理由から、将来的に顧客になる可能性のある「見込み客」開拓を優先した
- LINEに登録してもらえれば、広告費をかけずにアプローチできる
- 「見込み客」への定期的なアプローチを自動化したかった
このようにすることで、単なる「興味本位」の問い合わせを無くし、「意欲の高い人からのみ問い合わせが入るように」という狙いもありました。
「LINEのリスク」をカバーするため、メルマガ登録を促した方法
先のセクションでも紹介したように、LINEは「突然使えなくなる」リスクが潜んでいます。そこで、私は以下の方法でメルマガ登録を促し、リスクをカバーするようにしました。
- LINEステップで、メルマガ登録を促すメッセージを定期的に送付
- メルマガ登録すると「クーポンの追加プレゼント」を特典にした
- LINEクーポンと、メルマガクーポンの併用を可にした
尚、メルマガ登録者には、上記とは逆にLINE登録を促すステップメールを定期的に送りました。こうすることで、メルマガが届かなくてもLINEでアプローチできるようにもしています。
私が感じたLINE運用のメリットとデメリット
個人事業にLINE公式アカウントを導入してみて、私が実際に感じたメリットやデメリットをお伝えします。
結論から言うと、LINE導入して良かった点もあります。一方、私一人で全てを対応していたこともありますが、準備だけでなく運用にも手間や時間がかかっています。少人数体制の企業や店舗、個人事業者は導入にそれなりの覚悟が必要です。
良かった点
①:直接的なコストはゼロで済んだ
当時、LINEは月1000通までは無料で送れました。また、大量の登録者を一気に獲得できるような商材でもなかったため、結果として無料プランで運用できました。
②:見込み客数を増やすことができた
当初、見込み客の開拓はメルマガだけでしたが、LINEを導入したことで見込み客の数を当初の3倍に増やすことができました。
③:広告費を下げることができた
ネット広告の目的を「問い合わせ獲得」から、「LINEまたはメルマガの読者獲得」に変えたことでハードルが下がり、結果として少ない広告費でも成果を出せるようになりました。
大変だった点
①:ブログの準備が必要だった
LINEは、長文メッセージにはあまり向いていません。そこで、LINEステップからブログ記事に飛んでもらうようにしました。このブログ記事の準備に時間がかかりました。
②:外部の配信ツールを使う必要があった
私は20通を超えるLINEステップを送りたかったのですが、LINE公式アカウントでは10通までしか送れません(LINEステップを分岐させれば50通まで可能だが、分岐は使いたくなかった)。
作業途中でこのことに気付き、別途「エキスパ」という配信ツールも使うことになりました。よって、「エキスパ」の設定が追加で発生しています。
③:各種設定のやり方が分かりにくい
LINE公式アカウントや「エキスパ」の各種設定、また公式アカウントと「エキスパ」との連携設定が必要でした。ところが、これらの設定方法が意外と複雑で分かりにくく、調べながら作業したため時間がかかっています。
④:毎週の配信は意外と大変
LINEステップとは別に、週1でメッセージを送るようにしていました。しかし、週1とはいえ、ネタを考え配信するのはなかなか大変でした。
⑤:メルマガの同時発行も割と大変だった
LINEが突然使えなくなっても良いように、メルマガも同時に発行していました。内容はLINEとほぼ同じでしたが、それでもLINEとメルマガを同時発行は思ったよりも手間がかかりました。
LINE公式アカウント導入する前にチェックしておくべき6つのポイント
あなたがビジネスへのLINE導入をお考えなら、事前に以下の点を必ずチェックしてください。場合によっては「LINEは導入しない」という判断が現実的かも知れません。
①LINEを導入する目的が明確か?
集客、リピーター育成、予約管理など目的で運用方針が変わります。必ず、目的を明確にしておきましょう。
②週1回以上配信できる体制が作れるか?
属人化すると、担当者の不在で継続配信が難しくなります。チームで運用できる体制が作れるかどうか、あるいは外部の業者に委託できるかなどを考慮しましょう。
③LINE友だちを増やす導線があるか?
店頭POP、レシート、SNS、自社サイト、ネット広告など、友だち登録を増やせる導線があるかを確かめましょう。もし導線が今のところなければ、導線作りから先に行いましょう。
④クーポンや特典の設計ができているか?
登録後のメリットがないとなかなか登録してもらえないだけでなく、ユーザーが離脱しやすくなる可能性もあります。必ずしもクーポンである必要はありませんが、ぜひユーザー目線で魅力的な特典を用意しましょう。
⑤他の媒体との一貫性のある運用ができるか?
LINE以外の媒体でも発信する場合、内容に一貫性が無いと信用を失いかねません。例えば、キャンペーンの期間がLINEと店頭で異なると、「どっちが本当なの?」と混乱させるだけでなく、クレームの原因にもなるでしょう。
ぜひメール、SNS、店舗と組み合わせて運用する場合、内容に一貫性を持たせることのできる運用体制を作りましょう。
⑥禁止されている業種や商材に該当していないか?
LINE公式アカウントの規約やガイドラインには、利用が禁止されている業種や商材が定められています。具体的には、医療、出会い、アダルト、ネット関連商材(情報商材や能力開発商材含む)、マルチ商法、ギャンブル、クレジットカード現金化などは利用できません。
他にも規約に引っかかる点がないか確認しておきましょう。
まとめ
- LINE公式アカウントは、企業や店舗などビジネス用のLINEアカウントです。
- LINEは到達率や開封率が高く、低コストで始められるというメリットがあります。
- LINEは配信が増えるとコストも増加し、定期的な運用が負担となるデメリットがあります。
- LINEは外部プラットフォームなため、突然使えなくなるリスクも潜んでいます。
- メルマガやDM郵送を併用し、LINEが使えなくなっても顧客とコンタクトが取れる体制も作っておきましょう。
- LINE公式アカウントを導入する前に、目的の明確化、配信体制、規約上の問題がないかなどを確認しておきましょう。
LINE公式アカウントは、正しく使えば非常に強力な集客・販促ツールになります。しかし、「ただアカウントを作ってメッセージを送れば売上が伸びる」というものではありません。
特に人手の少ない中小・個人事業では、自社のリソースで無理なく継続できる体制が必要です。同時に、LINEのリスクをカバーしておく手立ても欠かせません。社内のリソースが足りないなら、専門の業者に委託することも検討してみましょう。もし、いずれも難しいなら、LINEの導入は先送りにするのが良いかもしれません。

