
ネット広告の成果が良くない場合、クリック率を改善することが一般的には推奨されています。
確かに、クリック率はある程度大切です。とはいえ、Google広告でクリック率をだけを高めと、むしろ費用対効果が悪化する場合があるという落とし穴があります。むしろ、クリック率以外の要素も改善していく必要があります。
そこでこの記事では、以下の点を主に解説していきます。
本記事ではGoogleのリスティング広告を中心に解説していきますが、基本的な考え方はディスプレイ広告や、Google以外の広告媒体でも通用します。この記事でクリック率を本質から理解し、Google広告のコストパフォーマンスを高め、多額の広告費を掛けなくでも集客できるようになりましょう。
「クリック率は高い方が良い」は本当か?その背景は?

クリック率は一般的に、低いよりも高い方が良いと言われています。これは間違いではないのですが、実際には広告媒体(課金方式)や、広告を出す目的によってもクリック率の重要性(役割)は大きく異なってきます。ところがこうした背景や要素を抜きに、「クリック率は高い方が良い」と語られているようです。
そこでこのセクションでは、クリック率を高めた方が良いケースをまずご紹介します。
SNS広告はクリック率が高いほど良い
SNS広告は「インプレッション課金」が多いです。インプレッションはクリックの有無に関係なく、広告が一定数表示されると広告費がかかります。仮にクリック数に対して一定の割合でコンバージョンが発生するのなら、クリック率が高いほど多くのコンバージョンが取れ、費用対効果(CPA)を高められることになります
以下は10,000インプレションで広告費が5,000円の場合、コンバージョン率やクリック率の変化で、コンバージョン数やCPAがどのように変化するかの例です。
| 広告費 | インプレッション数 | クリック率 | クリック数 | コンバージョン率 | コンバージョン数 | CPA | |
| 広告A | ¥5,000 | 10,000回 | 1% | 100 | 3% | 3件 | ¥1,667 |
| 広告B | ¥5,000 | 10,000回 | 3% | 300 | 3% | 9件 | ¥556 |
| 広告C | ¥5,000 | 10,000回 | 5% | 500 | 1% | 5件 | ¥1,000 |
上記の表をまとめると、以下のようになります。
- 広告AとBはコンバージョン率は同じだが、広告Bはクリック率が高いためコンバージョン数が多く、CPAが低下。
- 広告Cはコンバージョン率が低いが、クリック率が高い。結果的に、広告Aよりもコンバージョン数、CPAとも良い。
- インプレッション課金の場合、コンバージョン率の低さをクリック率の高さでカバーすることができる。
ただし、SNS広告でもクリック課金を選べることもありますし、媒体や広告の設定などによってはクリック課金になる場合もあります。どちらの課金方式になっているか、しっかり確認しておきましょう。
認知度を高めたいなら高クリック率でもOK
広告を出す目的が「認知度を高めること」なら、課金方式に関係なく、クリック率は高い方が良いでしょう。なぜなら、クリック率が高いほど、短期間でより多くの人に飛び先のページを見てもらえるからです。
ただし、できるだけインプレッション課金で配信することをお勧めします。どうしてもクリック課金で配信しなければならない場合、上限のクリック単価を下げるなどコストがかかり過ぎないように注意しましょう。
Google広告はクリック率向上でもコスパは良くならない?
Googleリスティング広告のように、コンバージョン獲得を目的にクリック課金方式で広告を出している場合、クリック率の向上だけを追求してはいけません。なぜなら、クリック率が高いとコスパ(CPA)が悪化し、収益を悪化させる場合があるからです。
以下はインプレッション数とクリック単価が同じと仮定した場合、クリック率のやコンバージョン率の違いでCPAがどのように変化するかの例です。
| インプレッション数 | クリック率 | クリック数 | クリック単価 | 広告費 | コンバージョン率 | コンバージョン数 | CPA | |
| 広告A | 10,000回 | 3% | 300 | ¥50 | ¥15,000 | 3% | 9件 | ¥1,667 |
| 広告B | 10,000回 | 5% | 500 | ¥50 | ¥25,000 | 3% | 15件 | ¥1,667 |
| 広告C | 10,000回 | 15% | 1,500 | ¥50 | ¥75,000 | 1% | 15件 | ¥5,000 |
| 広告D | 10,000回 | 1% | 100 | ¥50 | ¥5,000 | 10% | 10件 | ¥500 |
上の表をまとめると、以下のようになります。
- 広告BはAよりもクリック率は高いが、コンバージョン率が同じなのでCPAも変化なし。
- 広告Cはクリック率は高いものの、コンバージョン率が低いためCPAが悪化。
- 広告Dはクリック率が低いものの、コンバージョン率が高いのでCPAが低下。
- コスパ重視なら広告D、コスパとコンバージョン数のバランス重視なら広告Bがベスト。
- クリック課金の場合、クリック率の高さがコスパ改善に直結するとは限らない。
極端な例に思えるかも知れませんが、実は広告Cのようにクリック率が高いとCPAが悪化するという現象は珍しいことではありません。逆に、広告Dのようにクリック率は低いけど、コンバージョン率が高いためCPAが抑えられるというケースもあります。
これはつまり、広告Cは質の低い(コンバージョンしにくい)クリックをたくさん集めているけど、広告Dは質の高い(コンバージョンしやすい)クリックを厳選して集めていることを意味します。
繰り返しになりますが、上記を見ても分かるようにクリック課金では「闇雲にクリック率を高めるとコスパが悪化する場合がある」という点に注意が必要です。
インプレッション課金ならクリック率が高い方がコスパに有利に働きますが、クリック課金の場合はそう単純ではなく「クリック率と質のバランスが大事」になってきます。
Googleリスティング広告でクリックの「率と質」を高める7つの方法

先のセクションでもお伝えした通り、Googleのリスティング広告に代表されるようなクリック型の広告の場合、クリック率だけでなく、コンバージョンしやすい質の高いクリックを集めることも大切です。
では、クリック率もある程度高めつつ、質の高いクリックを集めるにはどうしたら良いのでしょうか? 幾つかの具体的な方法をこのセクションでご紹介します。
①キーワードの検索意図をしっかり確認する
キーワードを見た目だけ判断すると、実は自分の商材とは全く関係のないキーワードということになります。そのようなキーワードに広告を出したとしても、検索ユーザーがクリックしなければまだ良いのですが、「これは何だろう?」と興味本位でクリックする人もいます(当然ながら間違いクリックも起こり得ます)。
こうしたクリックは当然ながら、「質の低いクリック」ですからコンバージョンすることはまずありません。そこで、キーワードを見た目だけで判断せず、検索意図が自分の商材とズレていないかを確かめましょう。方法はとても簡単です。
- ブラウザを「シークレットモード」で開く。
- 確かめたいキーワードをGoogleで検索する。
- 検索結果を見て、商材とズレが無いかを確かめる。
検索結果は、検索ユーザーによって調整(カスタマイズ)されたものが表示されます。そこで調整されていない純粋な検索結果を確かめるためにも、ぜひシークレットモードで検索してください。
とはいえ、上記の方法でいちいちキーワードを確かめるのは面倒に思えるかも知れませんが、質の低いクリックを避けるためにも必ず確認しておきましょう。
②キーワードのマッチタイプは「インテント・マッチ」でOK
キーワードのマッチタイプが「部分一致(現在のインテント・マッチ)」だと、以前は「商材とは関係のない検索結果にも広告がたくさん表示されてしまう(無駄なクリックが増える)」ということで、「フレーズ一致」や「完全一致」が推奨されていました。
しかし、近年ではGoogleのシステムもAI化が進み、今は「インテント・マッチ(旧部分一致)」でも商材に関係のない検索には広告が表示されにくくなっています。Googleのサポート担当者から聞いた話によると、AIがランディングページの内容も読み取ることで、関係のない検索には広告がなるべく出ないよう改良されているそうです。
もちろん、全く関係のない検索には広告が一切出ないというわけではありません。しかし、私の経験でも、その数はとても少ない印象でした。
ただし、いくらAIが進歩したとはいえ、商材と合致しない検索でもクリックされることが時折ありますので、定期的に広告の掲載結果をチェックしキーワードの除外設定をしましょう。
③競合の広告をリサーチする(競合と同じことを言わない)
競合もリスティング広告を出しているなら、ぜひ競合がどんな広告を出しているかを調べましょう。主に注目すべき点は以下の通りです。
このリサーチの目的は、「競合と同じことを言わないようにするため」です。なぜなら、競合と同じことを言っていると、結局は価格の安い所に見込み客が流れてしまうからです。
そこで、ちょっとしたことでも構いませんので、あなたが競合とは異なる点、競合よりも優れている点が何かをリサーチ結果を基に分析して広告に反映しましょう。
④コンセプトを作ってから、見出しや説明文を作る
思いつくまま広告の見出しや説明文を作ってしまうと、首尾一貫性がなくブレの大きい内容となったり、検索ユーザーの心に刺さらない広告になったりすることがあります。結果としてクリック率や、コンバージョン率が下がってしまいます。
そこで、まずは広告の「コンセプト」を作りましょう。コンセプトで広告の方向性を決めた上で、見出しや説明文を作成していくとブレがなく、検索ユーザーに魅力的な広告に近づけていくことができます。尚、コンセプトを作る際は、競合の広告と内容が被らないように注意しましょう。
以下の記事ではコンセプト作りから、見出し、説明文作りまでの手順の詳細、実際の事例なども詳しく解説しています。ぜひ参照してください。
⑤コピーライティングを勉強する
魅力的なコンセプト、見出しや説明文を作る上で、コピーライティングの知識は持っていて損はありません。本を買って勉強しても良いですし、本格的に勉強したければ少し高めの教材で勉強するのも良いでしょう。
コピーライティングを勉強し実践する上でのポイントは、以下の通りです。
- 過去に成功した事例を学ぶ。
- その事例がなぜ成功したのか、その要因をある程度理解しておく。
- 成功事例を真似して見出しや、説明文を作ってみる。
コピーライティングの世界では、過去の成功事例を真似ることはよくあります。もちろん丸パクリは厳禁ですが、倫理的な範囲で真似するのは全く問題ありません。ちなみにYoutubeなどの広告を見ると、「これはあのコピーを真似しているな」というのが時々出てきます。
コピーライティングが色々と応用が利く技術ですので、勉強して損はありません。
⑥Google広告に出てくる最適化案はすぐに受け入れない
Googleで広告を出していると、「もっとこうした方が成果が出ますよ」といった最適化案が出てきます。ところが、最適化案が逆効果になることも珍しくありません。
私の経験上では、最適化案を受け入れるとクリック率が高まりやすくなります。ところが、クリック単価が高騰したり、コンバージョン率があまり向上しないなどで、結果として広告費が余計にかかってしまう傾向にあります。
最適化案が出てきたら、それが何を意味するのかとか、自分のマーケティング目標に合っているかなどをよく調べた上で受け入れる・受け入れないを判断しましょう。ネットを検索すれば、最適化案について解説している記事がたくさん出てきます。
尚、以下の記事では私が過去に却下していた最適化案の種類と、その理由を解説していますので、あわせてお読みください。
⑦ランディングページを改善する
いくら広告で質の高いクリックを集めても、ランディングページ(LP)がダメではコンバージョンしません。特にクリック率が高いのにコンバージョンが発生しない場合は、広告だけでなくLPにも問題があるのかも知れません。
そこで、広告だけでなくLPも含めて改善をしましょう。LPの改善方法は挙げたらキリが無いのですが、主なポイントは以下の通りです。
尚、LPはあまりデザインに凝る必要はありません。むしろ、シンプルなものでちょうど良いです。実際、画像もないテキストだけのLPでも、コンセプトさえ間違いなければちゃんとコンバージョンは取れます。
また、凝ったデザインのLPは作るだけでもお金がかかります。LPは一度作ったら終わりではなく、色々なバージョンを作ってテストしながら改善していくものです。できれば自社で作成・改善ができるのが理想です。
一般の見込み客は圧倒的にスマホでネット検索する人が多いですので、LPがスマホで表示された場合に見やすいくするのが大きなポイントです。またスマホ表示に最適化されていると、Google広告のスコアがプラスに働き、広告の掲載順位が上がる場合もあります。
理想を言えば、PC用とスマホ用にLPを分けた方が良いですが、そこまでするのはなかなか難しいのが現実です。そこで、スポンシブ対応の媒体でLPを作成し、スマホ表示で最適になるように工夫しましょう。
まとめ
- インプレッション課金の広告は、クリック率が高い方がコスパは良くなります。
- Googleリスティング広告など、クリック課金型の場合はクリック率だけを高めるとコスパが悪化する場合があります。
- 特にリスティング広告では、クリック率だけでなく、コンバージョンにつながるような質の高いクリックを集めることも大事です。
- キーワードごとに検索意図を確認する、競合の広告をリサーチする、見出しや説明文の改善など質の高いクリックを集める工夫をしましょう。
- クリックの質が高くてもLPの出来が良くないとコンバージョンしませんので、LPの改善も合わせて行いましょう。
Googleリスティング広告は、クリック率にとらわれることのないバランスの取れた運用を心がけましょう。そして、事業の安定・拡大を目指していきましょう!


